石田捨雄

石田捨雄

石田捨雄（いしだ すてお、1916年4月22日 - 2002年7月20日）は、日本の海軍軍人であり、後に海上自衛官となった人物です。最終階級は海将で、第9代海上幕僚長を務めました。愛知県出身で、海軍兵学校（64期）を卒業しています。妻は、有馬正文中将の長女である百合子。

海軍時代

旧制小牧中学校を経て海軍兵学校に入校。海軍時代には、キスカ島撤退作戦において、軽巡洋艦「阿武隈」の水雷長として参加し、守備隊5,600名の救出に大きく貢献しました。この作戦では、後に第12代海上幕僚長となる大賀良平少尉も航海士として同乗していました。

終戦時は舞鶴鎮守府に勤務しており、戦後は復員業務に従事しました。その後、妻の故郷である鹿児島でしばらく過ごし、先輩が経営する建築会社を手伝っていました。

海上自衛隊時代

海上自衛隊入隊後は、乗艦勤務の機会が少なく、陸上勤務が主となりました。海上幕僚監部総務部長、大湊地方総監、海上幕僚副長を経て、第9代海上幕僚長に就任しました。

海上幕僚長時代には、防衛研究所の学生が発表した論文が問題となりました。その論文は、バイカル・アムール鉄道建設に対する日本政府の援助について、防衛上の観点から慎重であるべきと主張するものでした。当時の防衛庁長官はこれを問題視し、石田海幕長に当該学生の処分を求めましたが、石田は学生の研究成果であるとして拒否しました。長官からさらに処分を迫られても、石田は一貫して拒否し続け、政治家による人事への不当な介入や、防衛研究に対する過度な政治の干渉から、文民統制の原則を守り抜こうとしました。

年譜

1933年（昭和8年）4月：海軍兵学校入校
1937年（昭和12年）3月：海軍兵学校卒業（第64期）
1937年（昭和12年）11月5日：戦艦「金剛」乗組
1938年（昭和13年）3月10日：海軍少尉任官
1938年（昭和13年）7月28日：第24駆逐隊附
1938年（昭和13年）8月1日：駆逐艦「江風」乗組
1938年（昭和13年）12月15日：重巡洋艦「鳥海」乗組
1939年（昭和14年）10月16日：駆逐艦「春風」航海長兼分隊長
1940年（昭和15年）5月1日：練習巡洋艦「鹿島」艤装員
1940年（昭和15年）5月31日：「鹿島」乗組
1940年（昭和15年）11月15日：駆逐艦「夏潮」水雷長兼分隊長
1941年（昭和16年）5月15日：海軍大尉に進級
1941年（昭和16年）7月21日：海軍兵学校教官兼監事
1943年（昭和18年）4月1日：軽巡洋艦「阿武隈」水雷長兼分隊長、キスカ島撤退作戦に参加
1943年（昭和18年）11月5日：海軍機雷学校高等科学生
1944年（昭和19年）3月1日：海軍機雷学校専攻科学生
1944年（昭和19年）6月30日：海軍対潜学校教官兼研究部部員
1944年（昭和19年）8月10日：兼補呉防備戦隊司令部附対潜訓練隊附
1944年（昭和19年）10月15日：海軍少佐に進級
1944年（昭和19年）12月1日：兼補海軍電測学校教官
1945年（昭和20年）3月1日：兼補第二特攻戦隊司令部附
1945年（昭和20年）4月1日：兼補海軍第二技術廠部員
1945年（昭和20年）5月1日：海軍対潜学校副官兼教官久里浜第1警備隊参謀
1945年（昭和20年）7月1日：舞鶴鎮守府参謀
1945年（昭和20年）7月10日：兼補第1護衛艦隊参謀
1945年（昭和20年）11月30日：予備役に編入、充員召集
1946年（昭和21年）2月5日：舞鶴地方復員局舞鶴掃海支部部員
1947年（昭和22年）11月28日：公職追放仮指定
1952年（昭和27年）1月：海上保安庁入庁（第四管区海上保安本部）
1952年（昭和27年）5月1日：海上警備隊転官（三等海上警備正）
1953年（昭和28年）8月16日：二等警備正に昇任
1954年（昭和29年）4月10日：警備船「しい」船長
1958年（昭和33年）2月16日：1等海佐に昇任
1959年（昭和34年）2月：在アメリカ合衆国日本国大使館防衛駐在官
1963年（昭和38年）2月16日：海上幕僚監部防衛部防衛課長
1965年（昭和40年）1月1日：海将補に昇任
1965年（昭和40年）3月16日：第10代 第1掃海隊群司令に就任
1966年（昭和41年）5月16日：海上幕僚監部総務部長
1968年（昭和43年）7月1日：海将に昇任、第10代 大湊地方総監に就任
1969年（昭和44年）7月1日：第9代 海上幕僚副長に就任
1972年（昭和47年）3月16日：第9代 海上幕僚長に就任
1973年（昭和48年）12月1日：退官
1986年（昭和61年）4月29日：勲二等瑞宝章受章
2002年（平成14年）7月20日：神奈川県鎌倉市内の病院で死去（享年86）、叙・正四位

栄典

勲二等瑞宝章 - 1986年（昭和61年）4月29日

参考文献

『世界の艦船』2002年5月増刊号 海上自衛隊の50年（海人社）

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