神坂神社

神坂神社（みさかじんじゃ）

長野県下伊那郡阿智村智里に鎮座する神坂神社は、古くから神坂峠の麓で人々の信仰を集めてきた神社です。旧社格は無格社となっています。

祭神

主祭神は、表筒男命（うわつつのおのみこと）、中筒男命（なかつつのおのみこと）、底筒男命（そこつつのおのみこと）の三柱の神です。これらは海の神とされ、地元では住吉様として親しまれています。

相殿には、日本武尊（やまとたけるのみこと）、譽田別命（ほむたわけのみこと）、建御名方命（たけみなかたのみこと）が祀られています。

歴史

神坂神社の鎮座地は、古代の官道である東山道の難所、神坂峠の信濃側の麓にあたる園原に位置しています。古来より、旅人たちはこの地で旅の安全を祈願し、当社を拝んできました。

祭神である三柱の神は、海神として知られており、安曇族が東国へ移住する際に神坂峠を越え、この地を重要な場所と定め、祖神を祀ったと伝えられています。

仲哀天皇の御代には日本武尊が、仁徳天皇の御代には譽田別命と建御名方命が合祀されました。

現在の社殿は明治22年（1889年）に改築されたもので、かつては社殿の左右に巨大な杉の大木がありましたが、左側の杉は明治25年の暴風で倒壊しました。この杉は樹齢2000年以上と伝えられています。右側の杉は現存しており、その姿を見ることができます。

境内

本殿: 明治22年（1889年）に宮大工の坂田亀吉（木曽亀）によって改築された、一間社流れ造りの建物です。
覆い屋: 本殿と同様に、明治22年（1889年）に改築されました。
日本武尊腰掛石: 日本武尊が東征からの帰路、神坂峠を越える際に腰を掛けたと伝えられる石です。
園原碑: 園原の里の来歴を大和言葉で刻んだ碑で、題字は東久世通禧、碑文は角田忠行、揮毫は富岡百錬によるものです。明治34年（1901年）に建立されました。
万葉集掲載歌碑: 防人の神人部子忍男が詠んだ歌が彫られています。
渉信濃坂詩碑: 凌雲集に収録されている、弘仁5年に坂上今継が詠んだ詩が刻まれています。
日本杉: かつて神殿の左右にそびえ立っていた杉の大木で、左側の杉は暴風で折れてしまいました。
とちの大木: 境内には、とちの巨木も存在します。

現地情報

所在地: 長野県下伊那郡阿智村大字智里字杉ノ木平3577
交通アクセス:
上り（東京方面）：中央自動車道園原インターチェンジより車で約10分（約4.5km）
下り（名古屋方面）：中央自動車道飯田山本インターチェンジより車で約35分（約15.5km）

周辺情報

神坂神社の周辺には、以下の観光スポットがあります。

神坂峠
園原
信濃比叡
富士見台高原
恵那山
昼神温泉
阿智神社
安布知神社
花桃の里 月川温泉郷

参考文献

『智里村誌』 智里村青年会編 代表 石原衛 智里村青年会発行 1934年（昭和9年）
『阿智村誌』阿智村誌編集委員会 阿智村誌刊行委員会発行 1984年（昭和59年）

外部リンク

神坂社 - 長野県神社庁

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