福岡 - 宮崎線

福岡 - 宮崎線（フェニックス号）

福岡県福岡市と宮崎県宮崎市を結ぶ高速バス路線です。昼行便は「フェニックス号」の愛称で親しまれ、西日本鉄道（西鉄）、宮崎交通（宮交）、九州産交バス（産交）、JR九州バスの4社が共同運行しています。1988年の運行開始以来、福岡と宮崎を結ぶ主要な交通手段として、航空機と並ぶ高いシェアを維持しています。

路線概要

この路線は、福岡市と都城市・宮崎市の間を九州自動車道・宮崎自動車道経由で結んでいます。1日28往復運行されており、SUNQパスは全九州+下関版のみ利用可能です。

福岡 - 宮崎間の移動手段として、高速バスと航空機がほぼ二分する状況で、2004年度の実績ではバスが45.3万人、航空が50.3万人となっています。週末や祝日には続行便が出ることも多く、特に観光や帰省などの需要が高いことがわかります。一方、ビジネス利用では、所要時間や利便性の面で航空機に分があると考えられています。

かつて、鉄道での移動手段としては、JR九州が小倉経由の特急「にちりん」と人吉・都城経由の急行「えびの」を運行していましたが、所要時間や運賃面で高速バスに劣るため、規模を縮小しました。その後、JR九州（後に分社化しJR九州バス）は「フェニックス号」の共同運行会社として参入し、運行本数を増やしています。

2000年代からは、複数のツアーバスが福岡 - 宮崎間で運行していましたが、2013年8月1日の高速ツアーバスの乗合バス化により、一部が撤退しました。現在では、南九州観光バスの「サンマリンライナー」と山口運送（美登観光バス）の「みとシティライナー」が新高速乗合バスとして運行されていますが、「フェニックス号」の運賃値下げにより、価格差は縮小しています。

国土交通省九州運輸局の統計によると、「福岡 - 宮崎」路線の運送収入は20億円から21億円で、九州の高速バス路線で首位または2位に位置しています。

沿革

「フェニックス号」、「たいよう」、「福岡 - 延岡・宮崎線」それぞれの沿革を以下にまとめました。

フェニックス号

1988年4月29日：運行開始。3往復、3列シートの共通カラー車。天神 - 宮交シティ間。
1989年7月26日：JR九州バス参入、4往復に。始発終着が宮崎駅前に。
1989年12月8日：九州自動車道八代 - 人吉間開通により、高速道経由に変更。所要時間短縮。
1991年4月1日：スーパーフェニックス登場、8往復に。
1991年8月1日：西鉄・宮交が夜行便運行開始。
1995年1月：人吉ターミナル閉鎖により、仮バス停『フェニックス人吉』に停車。
1995年7月：九州自動車道人吉 - えびの間開通。人吉ICバス停新設、15往復に増便。スーパー便が天神 - 人吉間ノンストップに。
1996年8月：17往復に増発。
1997年2月25日：25往復に増発。
1999年3月28日：福岡都市高速2号線全通に伴いダイヤ改正。所要時間短縮。
2004年4月1日：夜行便が北九州発着に延長。
2007年7月1日：高速バスロケ実験に伴い、高速基山に停車。
2007年12月7日：学生割引の「学割フェニックス号」運行開始。
2008年7月1日：「皆割フェニックス号」運行開始。女性専用便も設定。
2008年10月1日：「皆割フェニックス号」運行期間延長。
2008年10月20日：夜行便ダイヤ改正、福岡空港発着に。
2009年4月1日：「皆割フェニックス号」本格実施。
2009年9月1日：夜行便の運行を休止。
2011年3月12日：JR九州「ドリームにちりん」廃止を受け、夜行便を再開。
2011年4月13日：JR九州バスが「フェニックス号」から撤退。「たいよう」運行開始。昼行便は西鉄[[高速バス]]が参入。福岡側の経路変更、運賃値下げ、席割サービス開始。
2011年10月1日：「宮崎駅」の停車場所移転。「デパート前」停留所を「カリーノ宮崎前」に変更。
2012年3月20日：「たいよう」のダブルデッカー運行終了。
2012年4月25日：JR九州バス「たいよう」運行終了。「フェニックス号」に再参入。
2012年5月6日：夜行便の日曜日 - 木曜日の運行を休止。
2013年3月31日：夜行便の運行を終了。
2013年4月1日：西鉄本体担当分を西鉄[[高速バス]]に移管。
2013年7月1日：Web予約先が「楽バス」から「@バスで」に変更。
2014年6月10日：西鉄本体担当便が西鉄[[高速バス]]福岡支社から博多自動車営業所へ移管。
2014年7月18日：席割設定便に女性専用席導入。
2014年10月1日：ダイヤ改正。休憩場所・時間が変更、所要時間増加。
2016年3月31日：西鉄グループ便におけるDVD映画サービス終了。
2016年4月22日：熊本地震の影響で特別ダイヤにて運行再開。
2016年4月28日：通常ルートに戻る。
2016年5月1日：通常運行に戻る。
2016年6月13日：宮崎発最終便の経路変更。
2017年3月31日：夜行便（福岡 - 延岡・宮崎線）に宮崎交通参入。
2018年4月27日：夜行便（福岡 - 延岡・宮崎線）ダイヤ改正。
2018年9月30日：西鉄グループ以外の3社における車内ビデオサービス終了。
2019年4月1日：西鉄[[高速バス]]が西日本鉄道本体に吸収合併。
2019年10月1日：消費税増税に伴い運賃改定。途中休憩地点変更、博多バスターミナル乗り場変更。
2020年3月21日：新型コロナウイルス感染拡大の影響で減便開始。
2020年6月1日：夜行便（福岡 - 延岡・宮崎線）を廃止。
2021年4月1日：宮崎交通便が全便3列独立シート車に変更。
2021年4月28日：大幅減便。
2022年3月1日：ダイナミックプライシング型運賃体系に移行。
2022年7月15日：減便体制解除、通常ダイヤに戻る。
2024年4月22日：停車箇所と運賃の見直しを実施。呉服町の乗降扱いを廃止。

たいよう

2011年4月13日：JR九州バスが「フェニックス号」から撤退し、単独で「たいよう」の運行を開始。
2012年4月25日：「たいよう」の運行を終了し、「フェニックス号」に統合。

福岡 - 延岡・宮崎線

2016年4月22日：夜行高速バスの運行開始。西鉄[[高速バス]]単独運行。
2017年3月31日：宮崎交通が運行に参入。
2020年6月1日：運行を廃止。

運行会社

西日本鉄道
宮崎交通
九州産交バス
JR九州バス

この路線には、福岡県と宮崎県に車両拠点を持たない熊本県の九州産交バスも運行に携わっています。これは、路線開設当初、九州自動車道の八代 - えびの間が未開通であり、熊本県内の八代市や人吉市に停車していた名残です。

運行系統・停車停留所

速達便（スーパーフェニックス）

西鉄天神[[高速バスターミナル]] - 博多バスターミナル - 高速基山 - 人吉IC - 小林IC - 都城北 - 宮交シティ - 宮崎駅

多停車便（各停）

西鉄天神[[高速バスターミナル]] - 博多バスターミナル - 高速基山 - 久留米IC - 八女IC - 八代IC - 人吉IC - 小林IC - 都城北 - 宮交シティ - 宮崎駅

両便とも、西鉄天神[[高速バスターミナル]]は5番のりば、博多バスターミナルは36番のりば、宮崎駅は西口前の高速バスターミナル（「KITEN」1F）Aのりば、宮交シティは6番のりばから発車します。

両便とも、霧島SA・宮原SAの2箇所でそれぞれ15分間の休憩があります。

所要時間

博多バスターミナル - 宮崎駅
スーパーフェニックス：4時間32分
フェニックス：4時間41分
博多バスターミナル - 都城北
スーパーフェニックス：3時間43分
フェニックス：3時間51分
博多バスターミナル - 人吉インター
スーパーフェニックス：2時間37分
フェニックス：2時間43分

運賃の変遷

運行開始当初は片道6,000円、往復10,000円でしたが、その後、様々な割引制度や運賃改定が行われました。2022年3月1日からはダイナミックプライシング型運賃体系に移行し、予約状況に応じて運賃が変動するようになりました。現在、福岡 - 宮崎間の運賃は3,500円から7,000円の間で変動します。また、65歳以上のシニア割は一律5,500円です。SUNQパスは全九州版であれば追加料金なしで利用できます。

使用車両

初期は2+1列シートのスーパーハイデッカーが中心でしたが、現在はハイデッカーが主流となっています。車内にはトイレが設置され、座席コンセントやWi-Fiなどの設備も充実しています。かつては、車内公衆電話やビデオサービスなどもありましたが、現在は廃止されています。西鉄の一部とJRでは4列シート車での運行、宮交は全便3列独立シート車となっています。

たいよう

JR九州バスが運行していた「たいよう」は、博多バスターミナル - 宮崎駅間を天神を経由せずに運行し、所要時間を短縮していました。運賃は「フェニックス号」よりも安く設定されていましたが、約1年で運行を終了し、「フェニックス号」に統合されました。使用車両は、3列シートのスーパーハイデッカーと4列シートのハイデッカーでした。一部便には2階建てバスも使用されていました。

福岡 - 延岡・宮崎線

夜行高速バス「福岡 - 延岡・宮崎線」は、2016年から2020年まで運行していました。東九州自動車道を経由し、延岡駅を経由するルートでした。西鉄と宮崎交通の共同運行で、夜行対応の3列シート車両が使用されていました。

その他

座席は予約指定制です。
SUNQパスは全九州+下関版のみ利用可能です。

この路線は、30年以上にわたり福岡と宮崎を結ぶ重要な交通手段として人々に利用されています。

脚注

注釈

出典

外部リンク

福岡 〜 宮崎　（フェニックス号）｜バス情報｜西鉄くらしネット
九州産交グループ・フェニックス号
宮崎交通・高速バスフェニックス号
* JR九州バス・高速バス 福岡～宮崎「フェニックス号」

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