種子島久芳

種子島久芳（たねがしま ひさよし）

種子島久芳は、享保19年（1734年）に生まれ、江戸時代中期に活躍した薩摩藩士であり、種子島氏の第21代当主です。幼名は包時（かねとき）、通称として八郎次、蔵人、左内を名乗り、自遊という号も持っていました。

生涯

久芳は、延享2年（1745年）に父である種子島久達の死去に伴い家督を相続しました。元服は鹿児島城にて行われ、重富島津家の島津忠紀によって加冠されました。その際、「久」の字を賜っています。

若年のため、しばらくの間は姉婿である島津久甫が家政を代行しましたが、寛延2年（1749年）には定火消という役職に就きました。その後、宝暦2年（1752年）には番頭となり、着実に藩内での地位を確立していきます。

宝暦4年（1755年）には、新納久門の娘である於千と結婚し、宝暦9年（1759年）には、隠居していた島津継豊の使者として江戸に赴き、藩主である島津重豪に拝謁しました。さらに、江戸城に登城し、将軍徳川家重にも拝謁しています。

宝暦10年（1760年）には、嫡男である鶴袈裟（後の久照）が誕生します。宝暦11年（1761年）には、鹿児島に幕府の巡見使が訪れた際、宿舎の防火責任者という重要な役割を担いました。また、宝暦12年（1762年）には、藩主重豪の使者として再び江戸に赴任しています。

この頃、久芳は「甘藷伝」という著書を著しており、文化的な側面も持ち合わせていたことが伺えます。明和4年（1767年）には大乗院火消奉行に任命されますが、病気療養のため一時的に職を辞任しました。明和6年（1769年）には嫡男の鶴袈裟が元服し、庸時（久照）と名を改めました。

その後、久芳は安永2年（1773年）から天明5年（1783年）にかけて、南林寺、興国寺、浄光明寺、福昌寺など、様々な寺院の火消奉行を歴任しました。特に興国寺の火消奉行は複数回務めており、火災に対する高い意識を持っていたことが窺えます。天明6年（1786年）には、多病のため隠居を願い出て、翌天明7年（1787年）に隠居し、家督を嫡男の久照に譲りました。

寛政12年（1800年）に67歳で亡くなり、大歓院殿日喜大居士という戒名が贈られました。

系譜

父：種子島久達
母：川嶋氏
正室：於千（新納久門の娘）
嫡男：種子島久照

参考文献

* 東京大学史料編纂所「種子嶋家譜」

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