穂波家

穂波家：公家から華族へ、そして爵位返上

概要

穂波家（ほなみけ）は、歴史ある名門の家系です。その起源は、藤原北家勧修寺流の公家、権大納言・勧修寺経広の次男である権中納言・穂波経尚に遡ります。当初は「海住山」を称していましたが、寛文年間に「穂波」と改称されました。伏見の田園に由来するという説がありますが、詳細は不明です。家紋は勧修寺家と同じ「竹に雀」、菩提所は立本寺享保院です。江戸時代には蛤御門の外に屋敷を構え、蔵米30石を有していました。

華族としての穂波家

明治維新後、公家と大名家が華族として統合されると、穂波家も華族に列せられました。明治17年（1884年）の華族令施行により五爵制が導入されると、旧堂上家として穂波経藤が子爵位を授けられました。これは、大納言に直任された例のない家系への特例措置でした。

しかし、明治37年（1904年）、飛鳥井伯爵家に関連した戸籍法違反事件に巻き込まれ、穂波経度と経藤は拘留されました。その結果、翌明治38年（1905年）6月、爵位を返上するという事態となりました。

戊辰戦争と功績

11代当主の穂波経度は、戊辰戦争において錦旗奉行・大総督府参謀を務め、その功績により賞典禄100石を下賜されました。戦後には元老院議官にも就任するなど、政治面でも活躍しました。この功績は、穂波家の歴史において重要な転換点となりました。


系譜と歴代当主

穂波家は、数多くの当主を輩出しました。その系譜と歴代当主は以下の通りです。

穂波経尚 （1646 - 1706）
穂波晴宣 （1697 - 1768）
穂波経古 （1733 - 1741）
穂波尚明 （1729 - 1776）
穂波尚孝 （1757 - 1777）
穂波経条 （1774 - 1836）
穂波経誠 （1798 - ）
穂波経訓 （1802 - 1820）
穂波経武 （1818 - 1823）
穂波経治 （1824 - 1842）
穂波経度 （1837 - 1915）
穂波経藤 （1861 - 1931）

まとめ

穂波家は、公家から華族へと移り変わる激動の時代を生き抜き、戊辰戦争での活躍や子爵位への叙爵など、華々しい歴史を刻みました。しかし、爵位返上という苦難も経験しています。その栄光と挫折の歴史は、近代日本の変遷を反映するものであり、貴重な歴史的遺産と言えるでしょう。 彼らの歴史は、日本の歴史、特に公家社会から華族社会への転換期を理解する上で重要な手がかりとなります。今後の研究によって、さらに詳細な歴史が明らかになることが期待されます。


参考文献

浅見雅男『華族誕生 名誉と体面の明治』リブロポート、1994年
小田部雄次『華族 近代日本貴族の虚像と実像』中央公論新社、2006年

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