章士釗

章士釗（しょう ししょう）：激動の時代を駆け抜けた革命家、政治家、教育者

章士釗は、清朝末期から中華民国にかけて、政治、革命、教育、ジャーナリズムの分野で多岐にわたる活躍を見せた人物です。字は行巖といい、黄中黄、爛柯山人、弧桐、青桐、秋桐などの筆名も用いました。

清末民初の活動

1901年、章士釗は武昌の両湖書院で学び、その後、朱啓鈐の塾で教鞭を執りました。翌年には南京陸軍学堂で軍事を学び、上海愛国学社に加入。1903年には、上海で『蘇報』の編集に携わり、冬には黄興らとともに華興会を組織し、革命運動に身を投じます。

1905年、章士釗は日本に渡り、正則学校で英語を学び、法政大学法政速成科に入学します。さらに1908年には、エディンバラ大学に留学し、法律と政治を深く学びました。辛亥革命勃発後、帰国した章士釗は、1912年春に黄興や于右任らと上海で『民立報』を創刊し、主筆としてその言論活動を牽引。また、江蘇都督府顧問も兼任しました。同年9月には、王無生らと『独立周報』も創刊しています。

南方政府から北京政府へ

二次革命（第二革命）に孫文派として参加しましたが、敗北し、日本に亡命。1914年、雑誌『甲寅』を創刊し、黄興が組織した欧事研究会にも書記として参加しました。1916年、護国戦争で護国軍が肇慶軍務院を設立すると、章士釗はその秘書長に就任。あわせて両広都司令部秘書長も兼任しました。同年6月、黎元洪が中華民国大総統となると、章士釗は北京に移り、翌年11月には北京大学文科研究院教授兼図書館主任に就任しました。

その後、章士釗は南下して護法運動に加わり、1918年5月には護法軍政府秘書長に就任。翌年、上海で南北和平会談が開始されると、南方代表の一員として参加しました。1921年春には欧州へ視察に赴き、帰国後の翌年に北京農業専門学校校長に就任します。

1924年11月、段祺瑞が臨時執政となると、章士釗は司法総長として起用され、翌年4月には署理教育総長も兼任します。しかし、学生デモ鎮圧のために北京女子師範大学解散命令を発したことから、各界からの激しい非難を浴び、9月に事実上辞任。同年12月に正式に辞任し、上海へ逃れました。1928年に国民革命軍が北伐を完了すると、章士釗は北京政府の一員とみなされ指名手配を受け、欧州へ逃亡しました。

国民政府での活動

1930年、張学良の招聘を受けて帰国し、東北大学文学院教授に就任。翌年には文学院院長に昇進しました。満州事変勃発後は上海に戻り、弁護士を開業。1934年には上海法政学院院長に任じられました。1937年4月には、冀察政務委員会委員兼法制委員会主任となります。

日中戦争（抗日戦争）勃発後、章士釗は重慶に移り、国民参政会参政員を4期にわたって務めました。戦後は、制憲・行憲の両国民大会代表に選出されました。1949年3月には、国民政府から中国共産党との和平交渉代表に任じられました。中華人民共和国成立後は大陸に留まり、政務院法制委員会委員、中国人民政治協商会議全国委員会委員、全国人民代表大会常務委員、中央文史館館長を歴任しました。1973年5月には香港の親戚を訪問しています。

1973年7月1日、章士釗は香港でその生涯を閉じました。享年93歳でした。

章士釗は、激動の時代の中で、常に時代の最前線で活動を続けた人物でした。その思想と行動は、現代においても多くの示唆を与えてくれます。

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