笠吉麻呂

笠 吉麻呂の人物像

笠吉麻呂（かさ の よしまろ）は、飛鳥時代から奈良時代にかけて活躍した貴族で、姓は朝臣です。彼の業績や地位は、当時の日本の政治・文化に深い影響を与えました。彼は大乙下の笠諸石の子として生まれ、その官位は正五位下にまで昇進しました。

経歴と功績

笠吉麻呂に関する記録は、藤原宮から出土した年代不明の木簡に残されており、そこには「弾正台吉麻呂請根大夫前（桃子一二升奉直丁刀良）」といった書き込みが見られます。このことから、彼は早くから官人として活動していたことがわかります。

元明天皇の和銅元年（708年）に従五位下に叙爵されたのが彼のキャリアの始まりであり、翌年には新たに設置された造雑物法用司に、その官人として任命されました。彼は、采女枚夫や多治比三宅麻呂、船秦勝とともにこの役職に就きました。これにより、笠吉麻呂は雑物の管理や関連事務に責任を持つ重要な地位を得ることとなります。

その後、和銅5年（712年）に従五位上に昇進し、さらには和銅8年（715年）に正五位下に昇格するなど、彼の昇進は順調に進んでいきました。これらの経歴を通じて、笠吉麻呂は当時の政治の中で重要な役割を果たしていたことがわかります。

官歴一覧

笠吉麻呂の官歴については、以下の通りです。時期不明のものを除き、主に『続日本紀』に基づいています。

• - 時期不明：弾正台官人
• - 和銅元年（708年） 正月11日：従五位下
• - 和銅2年（709年） 3月23日：造雑物法用司
• - 和銅5年（712年） 正月19日：従五位上
• - 和銅8年（715年） 正月10日：正五位下

家族と系譜

笠吉麻呂の家族については、父親が大乙下である笠諸石とされていますが、母親についての記録は不詳です。彼には数人の子供がいました。男子には笠不破麻呂、笠乙麻呂が、また女子には笠比売比止女がいます。これにより、笠吉麻呂はその後の世代に対しても一定の影響を持っていたと考えられます。

参考文献

笠吉麻呂に関する情報は、以下の文献を基にしています。

• - 『続日本紀』1 新日本古典文学大系12（岩波書店、1989年）
• - 宇治谷孟『続日本紀 （上）』（講談社〈講談社学術文庫〉、1992年）

このように、笠吉麻呂は飛鳥・奈良時代において重要な貴族であり、その官位の昇進や家族の記録は当時の歴史の一部を形成しています。

もう一度検索