米倉昌言

米倉昌言：幕末から明治への波乱の時代を生きた大名

米倉昌言（よねくら まさこと）は、江戸時代後期から明治時代初期にかけて活躍した、六浦藩（むさしこくりくうらはん）の8代藩主です。従五位下・下野守、丹後守の官位に叙せられ、維新後には六浦知藩事を務め、子爵に叙爵されました。六浦藩米倉家11代当主という、家系においても重要な地位を占める人物でした。

波乱の生涯

米倉昌言は天保8年（1837年）、六浦藩7代藩主・米倉昌寿の六男として誕生しました。幼少期から、激動の時代を肌で感じながら成長したのでしょう。安政5年（1858年）には13代将軍・徳川家定に御目見し、叙任を果たします。そして、万延元年（1860年）、父の隠居に伴い、わずか23歳で家督を相続することとなります。

幕末の動乱期において、米倉昌言は佐幕派として活動しました。田安門番や日光祭礼奉行などの要職を歴任した後、文久3年（1863年）には大坂加番、元治元年（1864年）には大番頭を務めるなど、重要な役割を担いました。さらに、第一次長州征討（1864年）と第二次長州征討（1866年）にも参加しており、時代の激流に身を投じていたことが分かります。

慶応3年（1867年）には横須賀製鉄所の警護という重要な任務に就きますが、翌年の戊辰戦争では、時勢を見極め、新政府に恭順しました。この決断は、彼の政治的判断力と柔軟性を示すものと言えるでしょう。明治2年（1869年）の版籍奉還で知藩事となり、金沢藩を六浦藩と改称しました。しかし、明治4年（1871年）の廃藩置県により免官となります。その後、明治17年（1884年）には子爵を叙爵され、明治政府においても一定の地位を得ました。

明治42年（1909年）、73歳で生涯を閉じました。激動の時代を生き抜き、大名から知藩事、そして子爵へと変遷を遂げた米倉昌言の人生は、幕末から明治への激動期を象徴する出来事そのものでした。

家族

米倉昌言の家族構成も、彼の生涯を知る上で重要な要素です。

父: 米倉昌寿
母: 演暢院（板倉勝長の娘）
前妻: 諏訪政子（諏訪忠恕の娘）
後妻: 本庄竹子（本庄道美の娘）
* 子女: 米倉昌蔵（長男）、米倉昌大（次男）、米倉米子（諏訪頼固室）

後妻である本庄竹子との間に生まれた子供たちが、彼の血筋を継いでいきました。彼の家族関係は、当時における大名家の婚姻関係や家督相続といった慣習を反映しており、社会構造の一端を垣間見ることができるでしょう。

まとめ

米倉昌言は、幕末から明治維新という激動の時代を生き抜き、佐幕派として活動しながらも、時代の変化に柔軟に対応し、新政府に恭順することで生き残りを図った人物でした。彼の生涯は、単なる個人の歴史というだけでなく、日本の近代化という大きな歴史の流れの中で、一人の大名がどのように対応し、生き抜いたのかを示す貴重な事例となっています。彼の行動や選択は、現代においても様々な解釈や考察の対象となり、歴史の深遠さを改めて感じさせてくれるでしょう。

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