紀元前272年

紀元前272年は、共和政ローマにおいてルキウス・パピリウス・クルソルとスプリウス・カルウィリウス・マクシムスが執政官に就任した年として知られています。この年は、ローマ建国紀元482年とも数えられますが、現代では西暦紀元前272年として一般的に認識されています。

各地の紀年法

この年は、他の地域や文化圏では異なる紀年法で表されています。

干支: 己丑
日本: 皇紀389年、孝霊天皇19年
中国:
周 - 赧王43年
秦 - 昭襄王35年
楚 - 頃襄王27年
斉 - 襄王12年
燕 - 恵王7年
趙 - 恵文王27年
魏 - 安釐王5年
韓 - 桓恵王元年
仏滅紀元: 275年

主な出来事

紀元前272年には、地中海世界を中心に重要な出来事が複数発生しました。

セレウコス朝

セレウコス朝のアンティオコス1世は、プトレマイオス2世率いるエジプトとの第一次シリア戦争で敗北しました。この結果、ミレトゥス、フェニキア、キリキア西部がエジプトに併合され、エジプトの領土はカリアからキリキアの大部分にまで拡大しました。

エジプト

エジプトは、この勝利によって地中海東部における地位を確立しました。プトレマイオス朝の勢力圏は、キクラデス諸島からサモトラキ島まで、キリキア、パンフィリア、リュキア、カリアなどの地域を含む広範囲に及びました。

共和政ローマ

イタリア半島では、共和政ローマが大きな進展を見せました。3年前のピュロスの遠征終結後、サムニウムがローマに征服され、ターラントの降伏により、マグナ・グラエキアもローマの勢力下に置かれました。これにより、ローマはついにイタリア半島全土を支配下に収めました。

ギリシア

ギリシアでは、スパルタのクロニムスがマケドニア王国とエピロスの王ピュロスに、スパルタ攻撃を依頼しました。ピュロスはこれに応じましたが、ペロポネソス半島を自身の支配下に置くことを目論んでいました。スパルタ軍の多くがクレタ島に滞在していた隙に、ピュロスはスパルタを占領。しかし、市民の抵抗組織とコリントスからの傭兵の援軍、そしてクレタ島から戻ったアレウス1世の軍勢の前に、ピュロスは攻撃を中止し、撤退を余儀なくされました。

ピュロスの軍はアルゴスに移動しましたが、アンティゴノス2世の軍に支援されたアルゴス市民との戦闘に巻き込まれ、市街戦で命を落としました。ピュロスの死後、息子のアレクサンドロス2世がエピロスの王位を継ぎましたが、アンティゴノス2世はかつてピュロスに奪われていたマケドニア王位を取り戻しました。

インド

インドでは、マウリヤ朝の王ビンドゥサーラがカダンバを征服し、王国の南部への支配を拡大しました。

中国

中国では、楚の太子完が人質として秦に入り、秦が南陽郡を設置しました。また、韓、魏、楚が連合して燕を攻撃しました。

誕生

特筆すべき誕生の記録は残されていません。

死去

ピュロス - エピロス、マケドニアの王 (紀元前318年生まれ)
ビンドゥサーラ - マウリヤ朝の王（紀元前320年生まれ）
恵王 - 燕の王

まとめ

紀元前272年は、地中海世界を中心に、政治的な変動が激しかった年でした。ローマのイタリア半島統一、エジプトの勢力拡大、ギリシアでの混乱、インドでの領土拡大、中国での勢力争いなど、各地で重要な出来事が起こり、後の歴史に大きな影響を与えることになりました。

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