聖トマス西と15殉教者

聖トマス西と15殉教者とは

聖トマス西と15殉教者とは、江戸時代初期の1633年から1637年にかけて、長崎で殉教した16名のカトリック教徒を指します。この中には、司祭、修道者、そして信仰を守り抜いた信徒が含まれています。彼らは、幕府による厳しいキリスト教禁教令の下、信仰を捨てずに殉教という道を選びました。

殉教に至る背景

江戸幕府はキリスト教を厳しく禁じており、キリシタン弾圧を強化していました。1633年から1637年の間は特に摘発が厳しく、多くの信徒が捕らえられ、拷問を受け、最終的には処刑されました。この時期に殉教した人々は、信仰を捨てることなく、自らの信念を貫き通しました。

列聖された聖人たち

16名の殉教者の中には、日本人初の司祭として列聖されたトマス西、ヤコボ朝長、ビセンテ塩塚の3名が含まれます。また、修道女として長崎のマグダレナと大村のマリナも列聖されています。さらに、フィリピン人初の聖人となったロレンソ・ルイスもこの中に含まれています。この16名は、日本人9名、スペイン人4名、フィリピン人、イタリア人、フランス人が各1名という構成です。

1981年2月にフィリピンで列福され、1987年10月18日にはローマ教皇ヨハネ・パウロ2世によって列聖されました。彼らの勇気と信仰は、今日でも多くの人々に感銘を与え続けています。

殉教者たちの詳細

以下に、16名の殉教者の詳細を記します。

トマス西: 司祭。1590年、平戸生月出身。1634年11月17日殉教。
ヤコボ朝長: 司祭。1582年、大村領杭出津出身。1633年8月17日殉教。
ビセンテ塩塚: 司祭。生年不詳。長崎出身。1637年9月27日殉教。
マテオ小兵衛: 修道士。1615年、長崎（または有馬）出身。1633年10月19日殉教。
フランシスコ正右衛門: 修道士。出生地・生年不詳。1633年8月14日殉教。
長崎のマグダレナ: 修道女。[1610年]、長崎出身。1634年10月15日殉教。
大村のマリナ: 修道女。生年不詳。肥前大村出身。1634年11月11日殉教。
ミゲル久郎兵衛: 信徒。出生地・生年不詳。ヤコボ朝長とともに1633年8月17日殉教。
京都のラサロ: 信徒。生年不詳。京都出身。アントニオ・ゴンザレスやロレンソ・ルイスとともに1637年9月29日殉教。
ロレンソ・ルイス: 信徒。1600年頃、フィリピン・マニラ出身。1637年9月29日殉教。
ドミンゴ・エルキシア: 司祭。1589年、スペイン・ギプスコア県出身。1623年来日。1633年8月14日殉教。
ルカ・スピリトサント: 司祭。1594年、スペイン・サモーラ県出身。1623年来日。1633年10月19日殉教。
アントニオ・ゴンザレス: 司祭。1593年、スペイン・レオン出身。1636年、琉球に到着、1637年9月23日殉教。
ミゲル・デ・アオサラサ: 司祭。生年不詳。スペイン・ギプスコア県出身。1636年、琉球に到着、1637年9月29日殉教。
ジョルダノ・アンサロネ: 司祭。1598年、イタリア・シチリア島出身。1632年来日。1634年11月17日殉教。
ギヨーム・クルテ: 司祭。1590年、フランス・モンペリエ出身。1636年、琉球に到着、1637年9月29日殉教。

関連情報

カトリック中町教会は、聖トマス西と15殉教者を教会の保護聖人としています。また、この殉教者たちは、日本二十六聖人や日本のキリシタンの歴史と深く関わっています。

彼らの生涯は、信仰の証しとして、また歴史の教訓として、後世に語り継がれるべきものです。

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