佐賀県鹿島市大字高津原に所在する肥前
鹿島駅は、
九州旅客鉄道(JR九州)が運営する
長崎本線の主要駅です。
鹿島市の中心市街地の北端に位置し、市内や周辺地域からの利用客が多い駅となっています。
歴史
肥前
鹿島駅は、
1930年(
昭和5年)
11月30日に
鉄道省の駅としてその歴史を開始しました。駅名に「肥前」冠したのは、当時既に
鹿島駅が存在しており、それと区別するためでした。開業後、駅は地域の物流拠点としての役割も担いましたが、時代の変化に伴い、
1984年(
昭和59年)
2月1日には
貨物取扱が、続く
1985年(
昭和60年)
3月14日には荷物扱いがそれぞれ廃止されました。旅客サービス向上の一環として、
1986年(
昭和61年)
3月29日には
みどりの窓口が設置されています。
国鉄分割民営化を経て、
1987年(
昭和62年)
4月1日からはJR九州の駅として運営されています。近年では、
2013年(平成25年)
3月1日に駅舎内のバリアフリー化工事が完了し、エレベーターなどが整備されました。
2016年(平成28年)
4月1日には駅長配置が廃止され、駅業務は外部委託方式に移行しています。鉄道ネットワークの再編も駅の機能に影響を与えており、
2022年(
令和4年)
9月23日のダイヤ改正で
西九州新幹線が開業したことに伴い、特急「かもめ」の運行が終了し、代わって当駅と
博多駅を結ぶ特急「かささぎ」の運行が開始されました。現在、駅およびその周辺は大規模な再開発計画が進められており、
2025年(
令和7年)には新駅舎の工事に着手し、
2027年(
令和9年)にはその供用を開始する予定です。さらに、
2028年(
令和10年)には初代駅舎の復原、そして
2029年(
令和11年)には駅前広場やロータリーを含む駅周辺エリア全体の整備完了を目指しています。
駅構造
当駅は
地上駅であり、島式ホーム1面2線を備えています。駅舎は線路の西側に設けられており、ホームと駅舎は線路の下をくぐる地下道で連絡しています。
2013年3月には、この地下道にエレベーターが設置され、移動のバリアフリーが図られました。列車の全数が停車する駅ではありますが、配線は
一線スルー式ではなく、原則として左側通行の形式が採用されています。ただし、当駅で折り返す列車も存在するため、肥前竜王方から見て右側の線路にも入線可能な構造となっています。かつてステップ付きの783系電車が運用されていた名残でホームの嵩上げは行われていませんでしたが、エレベーター設置と同時期にホームも嵩上げされ、車両との段差が解消されています。
駅の運営形態としては、
佐賀鉄道事業部が管轄する業務委託駅であり、駅業務は
JR九州サービスサポートに委託されています。駅舎内には
みどりの窓口が設置されており、対面での切符購入などが可能です。
自動券売機も備えられていますが、
自動改札機は設置されていません。改札を出て右手には売店や待合室、自動販売機があり、駅舎の外にはトイレ、駐車場、タクシー乗り場が整備されています。駅員は時間帯によって配置されており、ワンマン運転の列車では駅員のいない時間帯は車内での運賃収受が行われます。
のりばの割り当ては基本的に方面別に分けられていますが、一部の特急列車や
普通列車が当駅で折り返し運転を行うため、時間帯によっては異なるホームを使用することもあります。
利用状況
2023年度(
令和5年度)における1日平均の乗車人員は845人でした。駅の利用客の多くは、江北方面や佐賀方面へ向かう列車を利用しており、諫早や長崎方面への利用客は比較的少ない傾向にあります。
駅周辺とアクセス
肥前
鹿島駅は、
鹿島市の中心市街地の北端部に位置しており、駅の南側や西側に市街地が広がっています。駅周辺には、再耕庵タクシーの本社や、駅のすぐ西側を線路と並行して走る
国道207号線、歴史ある多良海道などが通っています。主な周辺施設としては、スカイタワーホテル、鹿島郵便局、飲食店(インドカレー・プルニマ 鹿島店など)があります。
鹿島市役所や
鹿島市民図書館は駅から約1km南側に、旭ヶ丘公園(鹿島城跡)や
佐賀県立鹿島高等学校、
佐賀県立鹿島実業高等学校は約1km南西側に位置しています。また、
祐徳自動車本社やスーパーセンタートライアル鹿島店なども徒歩圏内にあります。有名な祐徳稲荷神社は駅からは徒歩圏外ですが、駅前からは神社行きの祐徳バスが運行されているほか、タクシーでのアクセスも可能です。地理的には隣の
肥前浜駅の方が祐徳稲荷神社にやや近い位置関係にあります。嬉野市塩田町の中心部へのアクセスに関しては、嬉野温泉駅よりも肥前
鹿島駅の方が地理的に近く、嬉野市役所塩田庁舎や
重要伝統的建造物群保存地区に指定されている塩田津の町並みなどへの拠点となります。
バス乗り場については、2023年10月1日に鹿島バスセンターが廃止・解体された後、祐徳バスは旧バスセンター周辺に新設された「肥前
鹿島駅前」停留所に発着するようになりました。また、高津原のりあいタクシーは駅前の再耕庵タクシー本社前から利用可能です。
隣の駅
九州旅客鉄道(JR九州)
■
長崎本線
特急「かささぎ」の発着駅です。
* ■普通:
肥前竜王駅 -
肥前鹿島駅 -
肥前浜駅