舂米

舂米（しょうまい／つきしね／つきよね）とは

「舂米」とは、稲穂から脱穀した穀物を臼と杵でつき、籾殻を取り除いて米粒（玄米または白米）にしたものを指します。また、その一連の作業を指すこともあります。

古代日本における舂米

古代日本では、主に女性が臼と竪杵を用いて舂米を行っていました。『日本書紀』には、大和政権が屯倉を設置すると同時に舂米部を設けた記述があります。当時、稲穂1束から籾1斗が収穫され、それを舂いて5升の舂米を得ることができたとされています。

令制下の舂米

律令制度下では、中央官庁の食料需要を満たすため、年料舂米として田租の一部を舂いて都に送る制度が設けられました。実際には、正税の一部が定期的に都に送られ、大炊寮や内蔵寮に納められていました。天平時代の正税帳によれば、これらの舂米はすべて出挙の利稲である穎稲から支出されていたようです。

『延喜式』によると、伊勢国や尾張国など22ヶ国が年料舂米の貢進国として指定されていました。これらの国々は、米という重い貨物を輸送する都合上、畿内周辺の国や水運を利用できる海岸沿いの国が選ばれていたと考えられます。

9世紀以降の舂米

9世紀になると、庸米の不足を補うため、年料租舂米として田租を舂いて都に送ることが規定されました。このように、時代によって舂米の役割や制度は変化していきました。

舂米の歴史的意義

舂米は、古代から日本の食生活を支える重要な役割を果たしていました。また、国家財政や物流にも深く関わっており、制度や歴史の中で様々な変遷を遂げてきました。その歴史を辿ることで、古代日本の社会や文化を深く理解することができます。

参考文献

『岩波日本史辞典』p148・p355・p596・p918、監修：永原慶二、岩波書店、1999年
『日本書紀』（二）、岩波文庫、1994年
『日本書紀』全現代語訳（上）、講談社学術文庫、宇治谷孟：訳、1988年
『日本古代氏族事典』【新装版】佐伯有清：編、雄山閣、2015年

関連項目

仁徳天皇
茨田屯倉
* 白米

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