船外保管プラットフォーム

国際宇宙ステーション（ISS）の船外保管プラットフォーム（ESP）

国際宇宙ステーション（ISS）の主要な構成機器の一つである船外保管プラットフォーム（ESP：External Stowage Platform）について解説します。ESPは、ISSの修理や改良に用いる軌道上交換ユニット（ORU）などの交換用装置を宇宙空間で保管するための場所です。ORUはヒーターによって保温され、温度が低下しすぎるのを防いでいます。各ORUは、ESP上に設置された軌道上で取り付け・取り外しが可能な取り付け機構（FRAM：Flight Releasable Attachment Mechanism）と呼ばれる接続機構で固定されます。

ESPの種類と特徴

ESPには、ESP-1、ESP-2、ESP-3の3種類が存在します。それぞれの特徴を見ていきましょう。

ESP-1

最初の船外プラットフォームであるESP-1は、2001年3月13日にSTS-102ミッションでデスティニーモジュールの左舷トラニオンピンに設置されました。ユニティモジュールから電力供給を受けており、2基のORUを保管できます。ESP-1は、スペースシャトルでの運搬時にはICCの下部に取り付けられていました。ESP-2やESP-3、エクスプレス補給キャリア（ELC）と比較すると小型で、形状も異なっています。寸法は最大で幅0.46m、長さ2.44mです。

ESP-1の保管品

FRAM-1：ポンプ流量制御装置（PFCS） - STS-102で追加
FRAM-2：直流切替ユニット（DCSU） - STS-100で追加

ESP-2

ESP-2は、STS-114でISSに運搬・設置されました。ESP-1よりも大型で、8個のORU設置機構を有しています。ESP-1と同様にユニティモジュールから電力供給を受けていますが、ESP-1とは異なり、クエスト（ISS）エアロックの外壁に特製の固定機構で取り付けられています。ESP-2とESP-3は、スペースシャトルで曝露機器を輸送するために設計された曝露機器輸送用キャリア（ICC）を改良したもので、シャトルの貨物室から取り出してISSに設置できるように設計されています。寸法は2.44m×3.96mでICCと同じです。

ESP-2の保管品

ESP-2には8箇所の取り付け部（FRAM）があり、以下のORUが保管されています。

FRAM-1（上面）：ポンプモジュール（PM） - かつて保管されていたが、現在は空き状態
FRAM-2（上面）：直流切替ユニット（DCSU） - STS-123で設置
FRAM-3（上面）：直流切替ユニット（DCSU） - STS-123で追加
FRAM-4（上面）：メインバス切替ユニット（MBSU） - STS-114で搭載したまま運搬
FRAM-5（下面）：カナダアーム2（SSRMS）のヨー軸関節 - STS-123で追加
FRAM-6（下面）：メインバス切替ユニット（MBSU） - STS-120で追加
FRAM-7（下面）：フレックス・ホース・ロータリー・カプラー（FHRC-3） - STS-114で搭載したまま運搬
FRAM-8（下面）：ユーティリティ・トランスファー・アセンブリ（UTA） - STS-114で搭載したまま運搬

ESP-2の保管品入れ替えの変遷

ビデオ支柱支持アセンブリ（VSSA）がFRAM-2に取り付けられて打ち上げられましたが、支柱を取り外した後、2007年7月23日に船外投棄されました。
ポンプモジュール（PM）（s/n 4）は、STS-121でFRAM-1に設置されていましたが、2010年8月17日に取り外され、S1トラスの故障したポンプモジュールと交換されました。故障したユニットは一時的にモービル・ベース・システム（MBS）に仮置きされた後、STS-133でESP-2のFRAM-1に移動され、STS-135で地上に回収されました。
故障して交換されたコントロール・モーメント・ジャイロ（CMG）が、STS-118の期間中にFRAM-5に仮置きされ、STS-122で地上に回収されました。

ESP-3

ESP-3は、2007年8月14日のSTS-118ミッションでP3トラス上部の曝露機器結合システム1（UCCAS-1）に設置されました。7つの結合機構（FRAM）を有し、ESP-2と同じくICCの改良型で、大きさも同じです。

ESP-3は、シャトルとISSのロボットアーム（SRMS/SSRMS）、位置決め用のカメラシステム（BCS）、電力・ビデオインタフェースを有するグラプルフィクスチャ（PVGF）を使って、ISSの主要なエレメントとしては初めて人の手を使わずにロボット操作だけで取り付けられました。操作を行った宇宙飛行士はSTS-118の7日目にロボットアームを使って設置しました。

2010年1月12日、ESP-3はISSのロボットアームを使ってP3トラス上部からS3トラス下部へ移動されました。これは、エクスプレス補給キャリア3（ELC-3）をSTS-134ミッション時にP3トラス上部に設置するために場所を空けるためでした。

ESP-3の保管品

ESP-3には7箇所の接続部（FRAM）があり、以下のORUが保管されています。

FRAM-1（上面）：カナダアーム2（SSRMS）のピッチ・ロール軸用関節（P/R‐J） - ESP-3に搭載したまま運搬
FRAM-2（上面）：フレックス・ホース・ロータリー・カプラー（FHRC） - STS-126で追加
FRAM-3（上面）：ポンプモジュール（PM） - STS-127で追加
FRAM-4（上面）：リニア駆動ユニット（LDU） - STS-127で追加
FRAM-5（下面）：Kuバンドアンテナ（SGANT） - STS-127で追加
FRAM-6（下面）：バッテリ充放電ユニット（BCDU） - ESP-3に搭載したまま運搬
FRAM-7（下面）：空き状態

ESP-3の保管品入れ替えの変遷

コントロール・モーメント・ジャイロ（CMG）とフレームがFRAM-4に取り付けられて運ばれていましたが、2007年8月13日にSTS-118ミッション時に故障品と交換するために取り外されました。CMG固定用のフレームはESP-2に移設され、Z1トラスの故障したコントロール・モーメント・ジャイロを仮保管するために使われました。
窒素タンク（NTA）はESP-3のFRAM-2に取り付けて運ばれていましたが、2008年6月8日のSTS-124ミッション中に使用済みのNTAと交換するためにS1トラスに移設されました。使用済みの窒素タンク（NTA）が代わりにFRAM-2に取り付けられて仮置きされていましたが、STS-126で地上に回収されました。

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