芝山古墳群

芝山古墳群について

芝山古墳群は、千葉県山武郡横芝光町に所在する、古墳時代後期を代表する古墳群です。特に、殿塚古墳と姫塚古墳の2基の前方後円墳は、その規模と出土品において特筆すべき価値を持ち、国の史跡に指定されています。また、両古墳から出土した埴輪は、国の重要文化財として指定されており、その学術的価値は非常に高いと評価されています。

概要

古墳群は、九十九里平野の中央部を流れる木戸川の東岸に位置する台地上に広がっており、殿塚と姫塚を中心に、13基の円墳が点在しています。1956年に早稲田大学が行った発掘調査では、ほぼ完全な形で「葬列埴輪」が出土し、形象埴輪の配列の意味を初めて解明する重要な発見となりました。

殿塚古墳

殿塚古墳は、全長88メートルの前方後円墳で、二段築成の墳丘を持ち、周溝と外堤によって囲まれています。墳丘には、円筒埴輪や形象埴輪が樹立されており、特に、馬や犬、牛などの動物埴輪、武具や家などの器財埴輪、そして多数の人物埴輪が出土しました。これらの埴輪は、当時の葬送儀礼や社会構造を物語る貴重な資料となっています。また、後円部には横穴式石室があり、内部からは勾玉や金環、頭椎大刀などの副葬品が見つかりました。

姫塚古墳

姫塚古墳は、殿塚古墳の北側に隣接する、全長58.5メートルの前方後円墳です。殿塚よりは小規模ですが、墳丘を巡る埴輪列は特筆すべきもので、特に、人物や馬の形象埴輪がほぼ原位置を保ったまま発見されました。この埴輪列は、当時の葬送儀礼を再現する上で非常に貴重であり、6世紀後半の埴輪表現の最盛期を代表する例とされています。石室からは、勾玉や金環、金銅装大刀などの副葬品が出土しました。

造営時期について

当初、殿塚・姫塚古墳は6世紀後半から7世紀初頭に造営されたと考えられていましたが、近年の研究により、6世紀後半に造営された可能性が高いとされています。これは、周辺の古墳との比較研究により、殿塚・姫塚古墳が、この地域における古墳文化の発展段階において、重要な位置を占めていることが明らかになったためです。

文化財指定

殿塚古墳と姫塚古墳から出土した埴輪は、国の重要文化財に指定されています。これらの埴輪は、古代の文化や技術を今に伝える貴重な遺産です。また、芝山古墳群自体も、1958年に国の史跡に指定されており、その歴史的価値が認められています。

周辺地域

古墳群の周辺には、木戸川上流の芝山町に山田・宝馬古墳群、下流の山武市には山室姫塚古墳や大堤権現塚古墳など、多くの古墳が点在しています。また、この地域は、縄文時代の貝塚も多く発見されており、古代から人が生活していたことが伺えます。特に、栗山川は丸木舟が多数発見されていることで知られており、水運が盛んであったことが示唆されています。

アクセス

芝山古墳群へは、千葉東金道路の松尾横芝ICから県道62号線を経由してアクセスできます。また、成田空港第2旅客ターミナルからは、空港シャトルバスで「横芝中台（殿塚・姫塚）入口」まで行くことができます。

まとめ

芝山古墳群は、古代の歴史と文化を今に伝える貴重な場所です。その中でも、殿塚古墳と姫塚古墳は、当時の社会構造や葬送儀礼を解明する上で重要な役割を果たしており、訪れる人々にとって、歴史ロマンを感じられる場所となっています。

参考文献
大塚初重; 小林三郎; 熊野正也 編『日本古墳大辞典』東京堂出版、1989年。
金井塚良一 編『前方後円墳の消滅 : 畿内政権の東国支配を探る』新人物往来社、1990年。

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