菅有実子

菅有実子（かん ゆみこ）は、日本の著名な声楽家であり、メゾソプラノ歌手、オペラ歌手、そして音楽教育者としても活躍しています。東京都目黒区出身で、田園調布雙葉高等学校を経て、東京藝術大学を卒業、同大学院を修了しました。その才能は早くから開花し、国内外で数々の舞台に出演しています。

オペラでの活躍

菅は、2002年にウィーンへ留学し、ソーナ・ガザリアンに師事してモーツァルトを中心としたオペラの歌唱法を深く研究しました。帰国後、二期会ワーグナー『ラインの黄金』フロスヒルデ役でオペラデビューを果たし、その実力を示しました。その後も、二期会リヒャルト・シュトラウス『ばらの騎士』（演奏会形式）のオクタヴィアン役で注目を集め、NHKニューイヤーオペラコンサートにも同役で出演しました。モーツァルト『フィガロの結婚』ケルビーノ役、新国立劇場・二期会共催フンパーディンク『ヘンゼルとグレーテル』ヘンゼル役、ブリテン『真夏の夜の夢』オベロン役など、少年から青年まで幅広い役柄を演じ分け、観客を魅了しました。また、新国立劇場では、『ラインの黄金』、『ワルキューレ』にも出演し、その存在感を確固たるものにしました。

2005年には、二期会ツェムリンスキー『フィレンツェの悲劇』でビアンカ役を演じ、演出家カロリーネ・グルーバーの意図を具現化した表現で、新たな境地を切り開きました。2007年には、東京音楽大学創立100周年記念オペラ公演モーツァルト『フィガロの結婚』で再びケルビーノ役を演じ、その卓越した歌唱力と表現力を披露しました。その他、ビゼー『カルメン』タイトルロール、ロッシーニ『アルジェのイタリア女』イザベラ、モーツァルト『コジ・ファン・トゥッテ』ドラベッラ、『魔笛』侍女、マスカーニ『カヴァレリア・ルスティカーナ』サントゥッツァなど、数多くのオペラ作品に出演しており、そのレパートリーの広さを示しています。リヒャルト・シュトラウスやワーグナーの作品にも積極的に取り組み、その音楽性を高く評価されています。

コンサートでの活躍

オペラだけでなく、演奏会でもその才能を発揮しています。NHK交響楽団定期演奏会リヒャルト・シュトラウス『エレクトラ』、新日本フィルハーモニー交響楽団オネゲル『火刑台上のジャンヌ・ダルク』など、主要なオーケストラとの共演も数多く、その実力は折り紙付きです。東京フィルハーモニー交響楽団・オペラコンチェルタンテシリーズでは、『ヒンデミット／三部作』で第50回芸術祭大賞を受賞するなど、その音楽性が高く評価されています。宗教曲では、モーツァルト『レクイエム』、ヴェルディ『レクイエム』、バッハ『マタイ受難曲』、『ヨハネ受難曲』、『ミサ曲』、ベートーヴェン『第九』、マーラー交響曲第8番『千人の交響曲』、交響曲第2番『復活』、『大地の歌』など、数多くの作品でソリストを務め、聴衆を魅了しています。

メディア出演と録音

テレビ朝日『題名のない音楽会』、『題名のない音楽会21』にも出演し、その美しい歌声と音楽に対する情熱を広く伝えました。ウィーン楽友協会ブラームスザールで録音された重唱曲『ブラームス ジプシーの歌／愛の歌』はビクターエンターテインメントからリリースされ、好評を博しています。

人物像と教育活動

菅有実子の最大の魅力は、艶のある深く豊かな声質と、舞台での優美な姿です。その歌声は聴く人の心を捉え、感動を与えます。現在は、東京音楽大学教授、フェリス女学院大学講師として後進の指導にもあたっており、二期会会員、東京室内歌劇場会員、横浜シティオペラ会員としても活動しています。また、東京都世田谷区に在住しています。

受賞歴

その功績は数々の賞にも表れており、第62回日本音楽コンクール第2位入賞、第26回日伊声楽コンコルソ入選、第1回日本声楽コンクール入選、田中路子賞受賞など、その実力が公に認められています。

その他の活動

演奏活動は非常に多岐にわたり、その詳細は公式ホームページやResearchmapに掲載されています。また、第38回ソレイユ声楽コンクール「2020年音楽現代新人賞」審査員や、FUGA国際音楽コンクール審査員を務めるなど、音楽界の発展にも貢献しています。

ディスコグラフィー

主なディスコグラフィーとして、以下のような作品があります。

『J.ブラームス ジプシーの歌/愛の歌』(2002年): 畑中良輔指揮、大島洋子、平松英子らと共演。
『渾身のヴェルディ・レクイエム』(2007年): 広上淳一指揮、菅英三子、佐野成宏らと共演。

外部リンク

東京音楽大学 菅有実子 公式ホームページ
東京音楽大学 菅有実子（声楽科教員）facebook
* Researchmap 菅有実子

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