登録検査等事業者等

登録検査等事業者等について

定義

登録検査等事業者等とは、電波法に基づき、無線局の無線設備の検査や点検を行う事業者として、総務大臣の登録を受けた者を指します。電波法第24条の2では、無線設備の検査や点検を行う事業者が総務大臣の登録を受けることができると規定しています。

登録を受けた事業者は、検査と点検の両方を行う「登録検査事業者」と、点検のみを行う「登録点検事業者」に区分されます。また、外国で点検のみを行う事業者として登録を受けた者は、「登録外国点検事業者」と呼ばれます。これらの事業者を総称して「登録検査等事業者等」と規定しています。

ここでいう「点検」とは、検査手続きの一部であり、点検結果の判定によって検査の合否が決定されます。

概要

無線局は、簡易な免許手続きの対象となるものや特定無線局として包括免許されるものを除き、開設時に予備免許を取得した後、落成検査を受ける必要があります。また、無線設備の変更時にも変更検査が必要です。さらに、一定期間ごとに定期検査を受けることが義務付けられています。

これらの検査は、かつては地方電気通信監理局（現在の総合通信局）が実施していましたが、現在は一部が民間に開放され、登録検査等事業者等が実施しています。

登録検査等事業者等は、事業を実施する場所によって「登録検査事業者」と「登録外国点検事業者」に区分されます。総務省の電波利用ホームページでは、検査と点検を行う事業者を「登録検査事業者」、点検のみを行う事業者を「登録点検事業者」と区別して表記しています。


（国内で実施）
┏登録検査等事業者━━━登録検査事業者（検査と点検を行う事業者）
┃ ┃
登録検査等事業者等┫ ┗━━━┓
┃ ┃
┗登録外国点検事業者━━登録点検事業者（点検のみ行う事業者）
（外国で実施）

経緯

1998年（平成10年）に制度化された当初は、総務大臣の認定を受けた点検事業者が無線設備の点検を行い、免許人から点検結果を記載した書類の提出があった場合に、検査の一部を省略できる「点検事業者制度」でした。

1999年（平成11年）には、外国で点検を行う者も点検事業者になれるようになりました。2004年（平成16年）には、点検事業者は総務大臣の登録を受けた者（登録点検事業者）となりました。

2011年（平成23年）には、総務大臣の登録を受けた者（登録検査等事業者）が無線設備の検査を行い、免許人から検査結果が法令に違反していない旨を記載した証明書の提出があった場合に、定期検査を省略できる「登録検査等事業者制度」が開始されました。

申請

登録の申請は、総合通信局に提出します。外国で点検を行う事業者は関東総合通信局に提出します。申請書には、業務実施方法書などの書類を添付する必要があります。業務実施方法書には、業務の実施方法のほか、登録点検事業者には点検員、登録検査事業者には判定員が要件を満たすことの証明書も必要です。

判定員は、点検の業務を行うことはできませんが、点検員と兼務することは可能です。この場合、判定員が点検員としても登録を受ける必要があります。

測定器については、較正に関する規則に基づく、またはそれと同等の較正がされていることが要件となります。登録検査事業者は、5年ごとに更新が必要です。

手数料等

登録そのものに手数料はかかりません。登録証の再交付には1,400円の手数料がかかります。また、登録免許税として90,000円が必要です（登録検査事業者の更新時は不要）。登録検査事業者の更新手数料は13,400円、電子申請の場合は13,300円です。

点検員

点検員の要件は、電波法や検査等規則によって定められています。具体的には、各級総合無線通信士、第三級を除く海上無線通信士、航空無線通信士、各級陸上無線技術士、第一級陸上特殊無線技士、または第一級アマチュア無線技士の資格が必要です。また、大学などで無線通信に関する科目を修了し、無線設備の機器の試験や調整、保守の業務に2年以上従事した経験も要件となります。ただし、第一級陸上特殊無線技士または第一級アマチュア無線技士は、海岸局、航空局、船舶局、航空機局の点検はできません。

判定員

判定員の要件も、電波法や検査等規則によって定められています。大学などで無線通信に関する科目を修了し、無線設備の機器の試験や調整、保守の業務に3年以上の従事経験、または点検員として1年以上の従事経験が必要です。他にも、無線通信士の資格や実務経験に応じて要件が定められています。ただし、第一級陸上特殊無線技士は、海岸局、航空局、船舶局、航空機局の判定はできません。

検査が可能な無線局

登録検査事業者による定期検査が可能な無線局は、電波法第73条第3項により「人の生命又は身体の安全の確保のためその適正な運用の確保が必要な無線局以外の無線局」とされています。具体的には、警察や消防、海上保安庁などの公共機関が使用する無線局や、船舶、航空機、放送事業などに使用される無線局の一部は検査対象外となります。

点検が可能な無線局

登録点検事業者による点検が可能な無線局は、検査等規則第19条第3項で「国が開設するもの（第15条に規定する無線局で国が開設するものに限る。）以外のもの」と規定されています。つまり、人の生命や身体の安全確保のために適切な運用が必要な無線局以外で、国以外が開設した無線局が対象となります。民間の船舶や航空機に搭載された無線局が外国で点検を受けることもあります。

フロー

点検のフロー

1. 無線局の免許人または予備免許を受けた者が、登録点検事業者に点検を依頼します。
2. 登録点検事業者は、点検を実施し、点検結果通知書を免許人等に送付します。
3. 登録点検事業者は、点検実施報告書を総合通信局に提出します。
4. 総合通信局は、無線局検査通知書を免許人等に送付します。

検査のフロー

1. 総合通信局から無線局の免許人に定期検査実施通知書が送付されます。
2. 免許人は登録検査事業者に検査を依頼します。
3. 登録検査事業者は検査を実施し、検査結果証明書を免許人等に送付します。
4. 登録検査事業者は、検査実施報告書を総合通信局に提出します。
5. 総合通信局は、検査結果に応じて無線局検査省略通知書を送付します。

その他

電波法別表第4に規定する判定員の要件は、技術基準適合証明の証明機関の証明員の要件でもあります。そのため、判定員が証明機関に証明員として採用されることがあります。

また、登録検査等事業者等の登録要件には無線局の保有に関する規定はありません。そのため、登録検査等事業者等が、自らが保有する無線局の点検または検査を行うことも可能です。

脚注

登録検査等事業者等規則

関連項目

登録検査等事業者制度（総務省電波利用ホームページ - 無線局開局の手続き・検査）
* 登録点検事業の概要（関東総合通信局）

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