アマチュア局の開局手続き

アマチュア局の開局手続き

アマチュア無線局を開設するには、電波法および関連法令に基づき、無線局免許状を取得する必要があります。この手続きは、個人が開設する個人局と、団体が開設する社団局で異なり、また、使用する無線設備の出力や技術基準適合性によっても手続きが異なります。ここでは、アマチュア局の開局手続きについて詳しく解説します。

必要な資格

アマチュア局の無線設備を操作するには、無線従事者の資格が必要です。必要な資格は以下のいずれかです。これらの資格は国籍を問わず、外国籍の方でも取得できます。

日本の資格
第一級アマチュア無線技士（1アマ）
第二級アマチュア無線技士（2アマ）
第三級アマチュア無線技士（3アマ）
第四級アマチュア無線技士（4アマ）
第一級総合無線通信士
第二級総合無線通信士
第一級海上無線通信士
第二級海上無線通信士
第四級海上無線通信士
航空無線通信士
第一級陸上無線技術士
第二級陸上無線技術士
外国の資格

総務省告示で定められた、上記の日本の資格に相当する外国の資格。


これらの資格を保有していなければ、アマチュア局の免許を申請することはできません。なお、無線従事者の免許申請と無線局の開設申請は同時に行うことができます。

アマチュア局の種類

アマチュア局には、個人が開設する「個人局」と、団体が開設する「社団局」の2種類があります。

個人局: 個人が趣味や研究目的で開設するアマチュア局。
社団局: アマチュア無線クラブや学校などの団体が開設するアマチュア局。社団局を開設するには、定款や構成員に関する情報が必要です。

無線局の免許

アマチュア局の免許を取得するには、以下の手順が必要です。

1. 申請書類の準備:
無線局免許申請書
無線局事項書
工事設計書
その他、必要に応じて添付書類
2. 申請書類の提出:
設置場所（移動しない局の場合）または常置場所（移動する局の場合）を管轄する総合通信局に提出します。
3. 予備免許の取得 (必要な場合):
申請書類が電波法令に適合していれば、予備免許が与えられます。ただし、簡易な免許手続きに該当する場合は、予備免許は不要です。
4. 落成検査:
予備免許の事項に基づいて無線設備を設置し、落成検査を受けます。検査に合格すれば、無線局免許状が交付されます。
5. 無線局免許状の交付

簡易な免許手続き

以下のいずれかに該当する場合は、簡易な免許手続きで免許を取得できます。

適合表示無線設備のみを使用する場合: 技術基準適合証明または工事設計認証を受けた無線設備（技適マーク付き）を使用する場合。この場合、工事設計書の記載を簡略化できます。
無線設備が電波法令の技術基準に適合している旨の保証を受けられる場合: 適合表示無線設備ではないが、保証認定事業者の保証を受けた無線設備を使用する場合。

無線設備の技術基準

アマチュア局で使用する無線設備は、電波法に定められた技術基準に適合している必要があります。特に、スプリアス発射の強度は重要な基準です。旧技術基準の無線設備を使用する場合は、保証認定を受ける必要があります。

新技術基準: 技術基準適合証明または工事設計認証を受けた無線設備は、新技術基準に適合しています。
旧技術基準: 平成29年11月30日までに製造された機器、または認証された適合表示無線設備。旧技術基準の無線設備を使用する場合は、保証認定が必要です。

保証認定

適合表示無線設備ではない無線設備を使用する場合、保証認定事業者による保証が必要です。保証認定では、無線設備が技術基準に適合していることを確認します。JARDが保証認定業務を行っています。

空中線電力

アマチュア局の空中線電力は、無線設備の種別や周波数帯によって制限があります。

50W以下: 移動する局として開局できる上限の空中線電力。
50W超: 移動しない局として免許される。
200W以下: 2アマに許可される最大の空中線電力。
1kW以下: 短波の移動しない局における最大空中線電力（1アマの操作範囲）。

設備共用

所定の条件を満たせば、他のアマチュア局の無線設備を共用することができます。ただし、移動する局と移動しない局の間では共用できません。また、社団局は他の社団局との間で共用できません。

外国人の申請

外国籍の方でもアマチュア局を開設できます。ただし、免許の有効期間は在留期間までとなります。

コールサイン

無線局免許状または予備免許の交付時に、呼出符号（コールサイン）が指定されます。コールサインは、空いているものから順次交付されるため、申請時に指定することはできません。ただし、過去に使用していたコールサインを復活させることは可能です。

電子申請

インターネットを利用した電子申請・届出システムLiteを利用して、オンラインで申請手続きを行うことができます。

手数料

無線局免許の申請には、電波法関係手数料令に定められた手数料が必要です。保証認定や点検の手数料は、事業者ごとに異なります。

電波利用料

アマチュア局の免許を取得する際には、電波利用料を納付する必要があります。電波利用料は、開局申請時に前納することも可能です。

社団局の申請

社団局を開設するには、個人局の申請書類に加えて、定款、社団の構成員に関する事項、理事の氏名・住所・生年月日及び略歴を提出する必要があります。

アマチュア無線の歴史

アマチュア無線制度は、昭和25年（1950年）に制度化され、その後、制度の見直しや改正が繰り返されてきました。技術基準の変更や、電子申請の導入など、時代とともに変化しています。

注意事項

無線局の開設にあたっては、電波法および関連法令を遵守する必要があります。
無線設備の技術基準は、変更されることがありますので、最新の情報を確認するようにしてください。
不明な点は、総合通信局や保証認定事業者などに問い合わせてください。


この情報が、アマチュア局の開局手続きの理解に役立つことを願っています。

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