藤原宗俊

藤原宗俊（ふじわら の むねとし）

藤原宗俊は平安時代中期から後期にかけて活躍した公卿で、藤原北家中御門流に属し、右大臣の藤原俊家の次男として生まれました。彼の官位は正二位・権大納言にまで昇進し、また松木家の祖でもあります。彼の生涯や業績は当時の社会に大きな影響を与えました。

経歴

藤原宗俊は、後冷泉天皇の治世のもと、天喜5年（1057年）に従五位下に叙爵され、翌年には侍従の職に任じられました。康平2年（1059年）には従五位上を与えられ、左近衛少将に就任し、その後も順調に昇進を遂げました。康平3年（1060年）には正五位下、康平6年（1063年）には従四位上に昇格し、さらには右近衛中将としての任を得ます。康平7年（1064年）には正四位下、治暦元年（1065年）には蔵人頭に補され、治暦3年（1067年）には公卿としての地位に至りました。

その後も昇進を重ね、後三条朝のもとで治暦4年（1068年）に従三位、延久2年（1070年）に正三位の位階を得ます。白河朝の承保2年（1075年）には従二位、承暦4年（1080年）には権中納言として活躍し、最終的には寛治6年（1092年）に権大納言に昇り、政界での影響力を持ちました。彼は永長2年（1097年）5月5日に52歳で隠退しました。

人物

藤原宗俊は、音楽、特に笙に優れていたことでも知られ、彼自身の技術を子供たちに伝授しました。その影響を受けたのが長男の宗忠や次男の宗輔などであり、彼の遺した音楽の才能は子孫にも大きな影響を与えています。

逸話

宗俊と音楽の師であった豊原時光の逸話は非常に興味深いものです。宗俊は時光の弟子として笙の技を学んでいましたが、時光はなかなか大食調の入調を教える機会を逃していました。ある雨の晩、時光は「今夜こそ秘曲を教えたい」と宗俊を訪ねました。しかし、「殿中で聞かれるかもしれないので、大極殿へ行こう」と提案しました。大極殿でようやく教えようとした際、時光は周囲に誰か隠れているのではないかと不安になり、松明を手に周囲を照らしたところ、なんとそこには笙の名人武吉がいたのでした。そのため、二人は教えることができずに帰ってしまいました。これは宗俊と時光の心温まるエピソードとして語り継がれています。

官歴

宗俊の累進の記録は非常に充実しています。彼は数年にわたり、様々な役職に就きながら直系の血筋を維持し続けました。詳細な官歴は以下の通りです：

• - 天喜5年（1057年） 8月22日：従五位下
• - 天喜6年（1058年） 正月10日：昇殿、4月16日：禁色、8月22日：侍従
• - 康平2年（1059年） 正月5日：従五位上、2月13日：右近衛少将

このように、宗俊の活躍は政治的な影響力だけでなく、文化的な側面にも深く関与していました。彼の多岐にわたる経歴や逸話は、平安時代の公卿の生活と文化を知る上でも重要な資料となっています。

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