藤原実持

藤原実持（ふじわら の さねもち）

藤原実持は、平安時代末期から鎌倉時代にかけての公卿で、三条実持、または清水谷実持とも呼ばれました。最終的には正二位権大納言にまで昇進しています。父は従二位権中納言の三条公定、母は権大納言藤原成親の娘という家柄です。

生涯

不遇の時代と昇進

建永2年（1207年）9月、父の公定と兄の実基が佐渡へと配流されたことで、実持の官位昇進は一時停滞を余儀なくされました。しかし、承久の乱後には官位昇進が再び活発となり、これは西園寺家一門としての恩恵に預かったことが大きな要因と考えられています。

官歴

以下に、『公卿補任』と『尊卑分脈』に基づいて、藤原実持の官歴を詳細に示します。

建久9年（1198年）2月26日、叙爵。
建仁3年（1203年）3月2日、侍従に任ぜられる。
建永2年（1207年）1月13日、土佐権介を兼任。
承久元年（1219年）12月13日、右少将に任ぜられる。
承久3年（1221年）1月5日、従五位上に昇叙。
貞応2年（1223年）1月6日、正五位下に昇叙。同月27日、備中権介を兼任。
元仁2年（1224年）2月5日、従四位下に昇叙。同月23日、右少将に還任。
寛喜2年（1230年）1月5日、従四位上に昇叙。同月24日、右中将に転任。
寛喜3年（1231年）1月29日、播磨権介を兼任。
貞永元年（1232年）12月2日、正四位下に昇叙。
文暦元年（1234年）12月21日、従三位に叙される。同日、皇后宮権大夫に任ぜられる。
嘉禎2年（1236年）6月9日、参議に任ぜられる。同月13日、皇后宮権大夫は元の如し。
嘉禎3年（1237年）1月5日、正三位に昇叙。同月24日、備中権守を兼任。同月29日、左中将を兼任。
嘉禎4年（1238年）閏2月27日、皇后宮権大夫を止める。同年7月27日、権中納言に転任。同年9月、勅授帯剣。
延応元年（1239年）5月5日、従二位に昇叙。
仁治元年（1240年）10月20日、中納言に転正。同月24日、右衛門督を兼ね検非違使別当に補せられる。
仁治2年（1241年）7月17日、正二位に昇叙。同年9月24日、右衛門督と検非違使別当を止める。同年10月13日、権大納言に転任。
仁治3年（1242年）3月7日、権大納言を辞任。
仁治4年（1243年）4月21日、本座を許される。
建長5年（1253年）9月12日、出家。
建長8年（1256年）5月8日、逝去。享年68。

家族構成

父：三条公定（1163年 - ?）
母：藤原成親の娘
妻：宇佐大宮司公通の娘
男子：藤原公兼（1240年 - 1312年）
生母不明の子女：三条公蔭、公隆、公永、公尋
女子：従三位持子 - 洞院公守室
女子：従三位按子 - 花山院長雅室
女子：他数名

藤原実持は、激動の時代を生き抜き、公卿として一定の地位を確立しました。彼の生涯は、当時の政治情勢や社会構造を理解する上で貴重な手がかりとなります。

参考文献

『公卿補任』（新訂増補国史大系）吉川弘文館 黒板勝美、国史大系編集会（編）
『尊卑分脈』（新訂増補国史大系）吉川弘文館 黒板勝美、国史大系編集会（編）
『明月記』全3巻組、国書刊行会、昭和62年（1987年）

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