藤原家忠

藤原家忠（ふじわら の いえただ）

藤原家忠は、平安時代後期の公卿であり、藤原北家、関白藤原師実の次男として生まれました。花山院左大臣と称され、花山院家の祖となった人物です。その官位は従一位・左大臣にまで至りました。

生涯

家忠は、異母兄・師通の急死、そして甥・忠実の失脚後、摂関の地位を狙うも、院近臣藤原顕隆の諫言により、その願いは叶いませんでした。しかし、堀河天皇からの信頼は厚く、康和5年（1103年）には右近衛大将に任じられます。この人事は、天皇の強い意向によるものだったと『中右記』や『今鏡』に記されています。

また、近年では、『大鏡』の増補部分の執筆者として、令子内親王の皇后宮大夫を務めた家忠であるという説も提唱されています。この説は、『大鏡』巻末に見られる「皇后宮の大夫殿書きつがはれたる夢なり」という記述に基づき、大鏡成立の下限とされる12世紀初頭に皇后宮大夫の職にあった家忠、あるいはその後任の源雅定、さらには時代を遡って11世紀の中宮大夫であった藤原能信や源顕房を作者と推定するものです。つまり、摂関家寄りの村上源氏、または摂関家分家の人物が執筆したと考えられています。

官歴

延久4年（1072年）：従五位下
承保元年（1074年）：侍従
承保2年（1075年）：右近衛少将
承保3年（1076年）：従五位上、近江介。同年12月、正五位下
承保4年（1077年）：従四位下、左近衛中将
承暦2年（1078年）：従四位上
承暦4年（1080年）：従三位
承暦5年（1081年）：正三位、兼讃岐権守
永保2年（1082年）：参議
永保3年（1083年）：権中納言
永保4年（1084年）：中宮権大夫、従二位
応徳3年（1086年）：兼左衛門督
寛治2年（1088年）：正二位
寛治5年（1091年）：権大納言
康和5年（1103年）：兼右大将
嘉承2年（1107年）：兼皇后宮大夫（令子内親王、郁芳門院より続く非妻の皇后、鳥羽天皇の父方の叔母にして准母）
永久3年（1115年）：大納言
保安2年（1121年）：兼左大将
保安3年（1122年）：右大臣
天承元年（1131年）：従一位左大臣

系譜

父：藤原師実
母：源頼国の娘
妻：藤原定綱の娘
男子：藤原忠宗（1087-1133）
男子：藤原忠能
妻：橘致綱の娘（家女房）
男子：藤原忠兼
生母不明の子女
男子：玄城房尋覚
養子：藤原家光 - 藤原頼通の落胤、橘俊綱の子

藤原家忠は、平安時代後期の朝廷において、重要な地位を占めた人物であり、その家系は後世にまで影響を与えました。

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