藤原田麻呂

藤原田麻呂について

藤原田麻呂（ふじわらのたまろ）は奈良時代に活躍した公卿であり、藤原式家の祖である藤原宇合の五男です。彼の名は太満侶とも表記され、官位は従二位・右大臣にまで昇進し、老後には贈正二位が与えられました。田麻呂の号は「蜷淵大臣」と称されていました。

経歴

田麻呂の人生は波乱に富んでいます。天平12年（740年）には長兄が起こした藤原広嗣の乱に連座して隠岐国に流されますが、天平14年（742年）に罪を赦されて帰京するものの、政治には関わらず蜷淵の山中で隠棲しました。この時期、彼は仏教に深い信仰を抱き、修行に励みました。

その後、天平宝字5年（761年）に従五位下の地位を得て、礼部少輔に任命されると同時に、保良宮の造営にも関与することになります。この業務は彼にとって重要な政治活動であり、同年の10月には淳仁天皇が保良宮に遷幸することに伴い従五位上に昇進しました。

藤原仲麻呂の乱後の天平宝字8年（764年）には右中弁兼外衛中将として重用され、その後も経歴をつづけます。天平神護2年（766年）には参議に昇進し、称徳天皇の下で急速に昇進し公卿に列しました。この時期、田麻呂の才能や温和な性格が重用される要因となったのです。

光仁天皇の即位により、田麻呂は宝亀元年（770年）に正四位下に叙され、宝亀2年（771年）には従三位に昇進し兵部卿を兼任します。しかし、宝亀5年（774年）には兵部卿を退任し、その後しばらく重要な官職はありませんでした。

最晩年

田麻呂は晩年、光仁朝末の宝亀11年（780年）に正三位・中納言に任命され、桓武天皇の即位翌年の天応元年（781年）に右大臣に就任します。これにより、彼は政治的な権力の中心に立ちましたが、延暦2年（783年）に享年62で死去しました。最終的な官職は右大臣・従二位兼近衛大将皇太子傳でした。

人柄

藤原田麻呂はその腰の低さや謙虚さから、人と争うことがなかったとされています。その性格は、兄弟の誅殺や隠岐への流浪といった苦しい経験に基づいて形成されたのかもしれません。彼の穏やかな人柄は、政治における彼の立ち振る舞いにも影響を及ぼし、時代の流れの中でしっかりと政治的地位を築くものでした。

官歴

田麻呂の官歴は、彼の生涯を通じていかに彼が多くの役職を歴任したかを示しています。彼は数々の重要な政治的役割を果たし、その都度昇進を遂げてきました。これらの記録は、彼がいかに優れた政治家であったかを物語っています。

結論

藤原田麻呂は、奈良時代の公卿として政治の中心で活躍した重要な人物です。彼の人生は、時代背景や周囲の環境に大きく影響を受けながら展開されたものであり、その経験や性格は政治に巧妙に反映されていました。

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