藤原重家 (刑部卿)

藤原重家（ふじわら の しげいえ）は、平安時代後期の公卿・歌人として名を残しました。藤原北家末茂流の流れを汲み、左京大夫・藤原顕輔の子として生まれました。官位は従三位・大宰大弐にまで昇り、六条を号しました。彼は六条藤家の4代目として、その名を歴史に刻んでいます。

経歴

父である藤原顕輔は、年齢の近い長男・清輔との間には複雑な感情があったとされていますが、その分、重家らには愛情を深く注いで育てたと言われています。重家は、周防国や筑前国などの国司を歴任しましたが、二条天皇の側近と見なされたことが原因で、応保2年（1162年）には後白河法皇の意向により解官されるという不遇も経験しました。しかし、その後復権を果たし、仁安3年（1168年）には昇殿を許され、嘉応2年（1170年）正月には従三位に昇進し、公卿の仲間入りを果たしました。承安元年（1171年）には大宰大弐に任じられましたが、安元2年（1176年）6月17日に出家し、世を離れて隠遁生活を送りました。法名は蓮寂または蓮家と号しました。

重家は、和歌、漢詩、管弦に秀でた多才な人物として、その名声は非常に高く、特に和歌の分野においては、兄である清輔から人麿影供を相伝され、六条藤家を継承しました。数々の歌合に出詠し、九条兼実家百首では判者を務めるなど、その才能を遺憾なく発揮しました。『千載和歌集』には3首、その他の勅撰和歌集には合計29首もの歌が選ばれており、歌人としての評価も確立しています。彼の家集としては、『大宰大弐重家集』が現存しています。

系譜

父：藤原顕輔
母：家女房
妻：藤原家成の娘
長男：藤原経家（1149-1209）
次男：藤原顕家（1153-?）
三男：藤原有家（1155-1216）
四男：藤原保季（1171-?） - 藤原季経の養子
生母不詳
男子：藤原資家 - 藤原季経の養子
男子：成円
男子：仁快
女子：中山兼宗室

人物

藤原重家は、歌人としての才能に加えて、公卿としても重要な役割を果たした人物でした。彼の生涯は、栄光と挫折、そして晩年の隠遁生活という、波乱に満ちたものでした。しかし、彼の残した和歌は、後世にまで高く評価され、日本の古典文学において重要な位置を占めています。

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