藤原顕家

藤原顕家（ふじわら の あきいえ）は、平安時代後期から鎌倉時代初期にかけての公卿・歌人であり、その生涯は多岐にわたります。父は従三位の藤原重家で、九条を号しました。

経歴

顕家の経歴は、永万元年（1165年）に六位蔵人に補されたことから始まります。同年には従五位下に叙爵し、官僚としての道を歩み始めました。永万2年（1166年）には尾張権守に任じられ、地方行政にも携わりました。

嘉応3年（1171年）には民部権少輔、承安2年（1172年）には少納言と、着実に昇進を重ねます。承安4年（1174年）には従五位上に叙されました。その後も三河守・右近衛少将を歴任し、安元3年（1177年）には正五位下、次いで従四位下に進みました。

しかし、治承3年（1179年）11月17日に平清盛による治承三年の政変が勃発すると、顕家は官職を解かれてしまいます。これは彼にとって大きな転換期となりました。その後、寿永元年（1182年）に従四位上・右近衛少将に叙任され、官界に復帰。寿永2年12月（1184年2月）には正四位下に陞叙されました。元暦2年（1185年）には能登守を兼任し、元暦4年（1187年）には左京大夫に遷りました。

建仁元年12月（1202年1月）には従三位に叙され、ついに公卿の仲間入りを果たします。承元2年（1208年）には正三位に叙されますが、建保3年（1215年）8月に63歳で出家するまで、13年間官職に就くことはありませんでした。出家後の消息は明らかになっていません。

歌人としての顕家は、『千載和歌集』以下の勅撰和歌集に7首の和歌が収録されています。彼の歌は、当時の人々の感情や自然観を反映しており、後世にまで伝えられています。

官歴

以下は、『公卿補任』に記載された顕家の官歴です。

永万元年（1165年）6月25日：六位蔵人に補任。元皇嘉門院判代官。8月22日：従五位下に叙爵。
永万2年（1166年）正月12日：尾張権守に任官。
嘉応3年（1171年）正月18日：民部権少輔に任官。
承安2年（1172年）10月26日：少納言に任官。
承安4年（1174年）正月5日：従五位上に叙位。
安元2年（1176年）：三河守を兼任。12月：右近衛少将に任官。守は元の如し。
安元3年（1177年）正月24日：正五位下に叙位（中宮御給）。11月15日：従四位下に叙位（行幸閑院賞）。11月16日：還昇。
治承3年（1179年）11月17日：両官を解任。
寿永元年（1182年）正月7日：右近衛少将に還任。11月23日：従四位上に叙位。
寿永2年12月19日（1184年2月2日）：正四位下に叙位。
元暦2年（1185年）6月10日：能登守を兼任。
元暦4年（1187年）10月14日：左京大夫に遷任。
建久元年（1190年）6月19日：七條院の殿上人に任官。
建仁元年12月26日（1202年1月21日）：従三位に叙位。左京大夫を辞任。
承元2年（1208年）正月7日：正三位に叙位。
建保3年（1215年）8月16日：出家。享年63歳。

系譜

父：藤原重家
母：藤原家成の娘
妻：源師兼の娘・院女房新大夫局
男子：藤原知家（1182-1258）
妻：不詳（生母不明）
男子：藤原清家
次男：藤原顕氏（1207-1274）
男子：藤原重継
* 男子：尊家

このように、藤原顕家は公卿として、また歌人として、平安時代末期から鎌倉時代初期にかけての社会で重要な役割を果たしました。

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