親台派

親台派とは

親台派（しんたいは）とは、中華民国（台湾）に対して好意的な立場をとる人々を指す言葉です。ただし、その意味合いは、反共主義の立場から中華民国（中国国民党）を支持するのか、台湾独立を支持するのかによって大きく異なります。また、「親華派」という言葉も存在しますが、こちらは中華民国に好意的な人物のみを指す点に注意が必要です。

日本政治史における親台派

日本の政治史において、親台派の概念は、中華民国（台湾）の民主化前後で大きく変化しています。

民主化以前

民主化以前は、主に反共の立場から、蔣介石率いる中華民国（中国国民党）政権に対して好意的な人物を指しました。第二次世界大戦後、日本軍の一部には、日中戦争を通じて蔣介石の力量を高く評価し、中華民国軍の軍事顧問となった者もいました（白団）。

1949年、中華人民共和国が成立すると、日本は大陸の中国と台湾のどちらの政府と講和条約を結ぶかを迫られました。1950年に勃発した朝鮮戦争により、アメリカと中国の関係が悪化し、日本は1952年に台湾を選択し、日華平和条約を締結しました。終戦時の蔣介石政府の寛大な処置に恩義を感じる人々が多く、特に大陸からの引き上げ者や元軍人の間では、一種の蔣介石神話が形成されました。保守派の政治家の中には、これらの人々を支持基盤として親台派を形成する者もいました。一方で、保守派の反主流派を中心に、大陸中国との政治交流も続けられていました。1972年のニクソン訪中を機に日中国交正常化が実現しましたが、両岸問題は冷戦構造の中で国内政治にも影響を与え、親中派閥と親台派閥は在日華僑組織を含めた政治問題として存在しました。

民主化以降

民主化以降は、中華民国体制からの脱却と台湾独立を目指す台湾独立派、および台湾という国家に対して好意的な人物を指すようになりました。小林よしのり氏のような反米保守派や渡部昇一氏などが知られていますが、親米保守にも阿川弘之氏や岡崎久彦氏のような親台派が存在します。彼らは、北京政府が主張する「一つの中国」論を「中国の覇権主義」であるとして排斥し、台湾を独立した国家として位置づけ、自由と民主主義を共有する「戦略的パートナー」として共存共栄を目指す考え方（価値観[[外交]]）を持っています。石原慎太郎氏は、東京都知事在任中に台湾を訪問した際、「私は一つの中国。一つの台湾で良いと思う」と発言しました。また、2021年には、中山泰秀防衛副大臣が台湾を「兄弟であり、家族だ」と表現し、国家として扱いました。

アメリカ政治史における親台派

アメリカの政治史においても、親台派の存在が確認されています。

1960年のアメリカ大統領選挙では、ケネディとニクソンがテレビ討論で台湾問題を主要な政治問題として論じました。1979年にアメリカは中華民国と国交を断絶しましたが、その後も大統領府、国務省、国防総省などに一定数の親台派が存在すると言われています。ドナルド・トランプ政権では、その政策主張から、大統領補佐官のジョン・ボルトン氏を親台派とする分析があります。

関連用語

反共主義: 共産主義に反対する思想や立場。
親華派: 中華民国に好意的な人物を指す言葉。
青嵐会: 自由民主党内の保守系政策グループ。
黄文雄: 台湾出身の評論家、歴史家。
台湾問題: 中華人民共和国と中華民国（台湾）の間で起こる政治問題。
親中派: 中華人民共和国に好意的な人物を指す言葉。
日本李登輝友の会: 台湾の元総統である李登輝を支援する団体。
日華議員懇談会: 日本の国会議員による、台湾との友好を促進する組織。
継承国: 国家が解体した場合、その権利や義務を引き継ぐ国。
光華寮訴訟: 日本国内にある中華民国の学生寮をめぐる訴訟。
謝謝台湾計画: 日本と台湾の友好を深めるための交流計画。
価値観[[外交]]: 自由、民主主義、人権などの価値観を共有する国との外交を重視する考え方。
* 台湾正名運動: 台湾の正式名称を「台湾」とする運動。

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