解放 (雑誌)

雑誌『解放』の歴史

『解放』は、日本の大正時代から戦前にかけて出版された重要な総合雑誌であり、主に二つの時期に分けられます。本稿では、その概要や発行背景、時代ごとの特徴について詳しく解説します。

第1次『解放』の創刊と活動

1919年6月1日、吉野作造や福田徳三、大山郁夫などのメンバーからなる黎明会が中心となり、大鐙閣から創刊されました。この創刊号は、3万部を発行し、定価は38銭でした。創刊の目的として、時代の圧迫から人間の自由を回復することが「解放宣言」として掲げられました。

記事の編集には、黎明会に近い新人会のメンバーも参加し、また、1920年6月号以降は麻生久や山名義鶴らによる解放社が実務を担いました。『解放』は、大正デモクラシーを支持し、労働問題、普通選挙、婦人参政権、被差別部落などのテーマを扱い、さらに急進的自由主義から社会主義へと移行していく過程がありました。

文芸欄では、島崎藤村を顧問に迎え、永井荷風、谷崎潤一郎、芥川龍之介などの人気作家や小川未明、宮地嘉六、金子洋文といった新進の作家を取り上げていきました。このように、多様な執筆陣が魅力的なコンテンツを提供し、同時期の『中央公論』や『改造』とシェアを競い合いました。しかし、関東大震災によって大鐙閣が全焼し、経営が困難になると、1922年9月号を最後に終了せざるを得ませんでした。

第2次『解放』の復刊と再構築

関東大震災後、『解放』の復刊を試みる動きが数回ありましたが、1915年には実現に至りませんでした。しかし、1925年には山崎今朝弥が発行していた日本フェビアン協会の機関誌『社会主義研究』が『解放』の名称を使用し、10月号から正式に復刊しました。復刊当初、13名の同人とともに解放社は再び社会問題や文学についての記事を発信していきました。

復刊後の『解放』は、定価50銭に改訂され、より急進的な社会主義の立場を強調しました。新しい執筆陣も加わり、谷口善太郎や水谷長三郎、片山哲らが入ったことで、さらなる多様性を持つ雑誌となりました。文芸欄においては、葉山嘉樹や林房雄、平林たい子といった作家が活躍し、プロレタリア文学の一大拠点としての役割も果たしました。

しかしながら、売上は伸び悩み、山崎は1927年に従来の形態を維持することが難しくなり、友人制による雑誌へと移行しました。編集者の中には、日本無産派文芸連盟の会員が多く在籍し、最終的にはこの連盟の機関誌としての位置付けを強まっていきました。

結果と後の動向

1933年3月号を最後に、『解放』の発行は不明となりましたが、その後1934年には渡辺潜が編集権を取得し、社会大衆党系の雑誌として再びスタートします。しかし、1936年以降の動向は不明なままで、この時期の『解放』は様々な歴史的背景を持つ一冊として評価されています。

参考文献

• - 横山春一「解放」（『日本史大事典 2』、平凡社、1993年）
• - 梅田俊英「解放」（『国史大辞典 3』、吉川弘文館、1983年）

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