趙安 (明)

趙安（ちょう あん）の生涯

趙安（1374年 - 1444年）は、明代の軍人であり、その生涯は波乱に満ちたものでした。彼の本貫は臨洮府狄道県にあります。

初期の苦難

趙安は、洪武年間に従兄の趙琦が罪を犯し、処刑されたことで、一兵士として甘州に送られました。これは、彼にとって大きな転換点となりました。しかし、彼はこの逆境を乗り越え、自身の力で運命を切り開いていくことになります。

軍人としての台頭

1403年（永楽元年）、趙安は朝廷に馬を献上したことで、その才能を認められ、臨洮百戸の位を与えられました。さらに、西域への使節という重要な任務を任されることになります。永楽帝の漠北遠征にも従軍し、数々の功績を挙げ、都指揮同知に累進しました。彼の軍事的な才能は、この時期から顕著に発揮され始めました。

反乱鎮圧と外交での活躍

1427年（宣徳2年）、松潘でチベット系諸族が反乱を起こすと、趙安は左参将として、総兵陳懐に従い、反乱鎮圧に貢献し、都督僉事に進みました。この反乱鎮圧での活躍は、彼の軍人としての地位を不動のものとしました。また、ウリャンカイ征討の議論が起こった際には、宣徳帝の命を受け、史昭と共に軍を率いて北京に赴きました。しかし、ウリャンカイが来朝したため、趙安は原衛に帰還しました。その後、烏思蔵への使節という外交的な任務も務め、1429年（宣徳4年）に帰国しました。1430年（宣徳5年）には、左参将として史昭に従い、曲先を討伐し、多くの敵を捕虜としたり、討ち取ったりしました。1434年（宣徳9年）には、中官の宋成らが烏思蔵へ派遣される際、趙安は宣徳帝の命を受けて、兵1500人を率いて宋成を護衛しました。さらに、侍郎の徐晞と共に塞北に進出し、北元のハーンであるアダイ・ハーンとドルジ・ベクを撃破しました。

晩年の活躍と失脚

1436年（正統元年）、趙安は都督同知に進み、右副総兵官として任礼と協力して甘粛に駐屯しました。1437年（正統2年）には、蔣貴と共に塞北へ進軍し、モンゴル軍の掃討作戦に参加しましたが、十分な功績を挙げることができませんでした。1438年（正統3年）、王驥・任礼・蔣貴と共に、別々の道から進軍し、刁力溝でダルガチら30人を捕らえました。この功績により、趙安は会川伯に封じられ、その功績が認められました。1439年（正統4年）には、涼州へ移駐しましたが、趙安の家が臨洮にあり、姻戚の多くが反乱側についていたため、副使の陳斌がこのことを朝廷に報告しました。さらに、涼州において多くの無頼の者を雇い、民衆を騒がせたことから、御史の孫毓によって弾劾されました。しかし、英宗はこの問題を不問としました。1444年（正統9年）12月、趙安は71歳でその生涯を閉じました。

死後

趙安の息子である趙英は、父の意思を継ぎ、指揮使として活躍し、その功績により都督同知に進みました。

参考文献

『明史』巻155 列伝第43


趙安は、その生涯を通じて数々の戦役を経験し、その勇猛さと軍事的な才能を示しました。また、外交的な任務もこなし、明朝の発展に貢献しました。彼の人生は、逆境から立ち上がり、自らの力で道を切り開いていくことの重要さを教えてくれます。

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