近古音
近古音とは
近古音（きんこおん）とは、中国の宋代、元代、明代、清代頃の中国語、特に古[[官話]]の音韻体系を指す言葉です。漢字音を時代によって区別する際に、現代音（今音）と古代音（古音）に分け、さらに古音を上古音、中古音、そして近古音の三つに分類する考え方に基づいています。日本では、歴史学の影響から近世音と呼ばれることもあります。
概要
近古音の時代区分は研究者によって諸説ありますが、一般的には元代に編纂された韻書『中原音韻』の体系が基準とされています。そのため、近古音は中原音韻音系と呼ばれることもあります。『中原音韻』は、元曲という民間の歌謡における押韻のために作成された書物であり、当時の北方地域における音韻体系を反映しています。また、この時代には大航海時代に西洋人が中国を訪れるようになり、マンダリン（官話）と呼ばれる共通語が認識され始めました。明代や清代の官話は、南京官話と呼ばれる南京の音を主体としていました。
音韻の特徴
近古音は、中古音からいくつかの重要な変化を遂げました。その主な特徴は以下の通りです。
声母
韻母
- - 開口二等と三・四等の混合：韻母においては、開口二等と三・四等の間で混合が起こりました。
- - 陽声韻の統合：音節末の鼻音[m]が[n]に統合されました。
- - 入声韻の変化：音節末の閉鎖音[k, p, t]が声門閉鎖音[ʔ]に統合され、最終的には陰声韻（音節末が母音）へと変化しました。この変化は、中国語の音節構造を単純化する方向へ進みました。
声調
- - 平声の分裂：平声は陰平と陽平に分かれました。これは、中国語の声調体系に新たな区別を生むものでした。
- - 全濁上声の去声化：全濁上声は去声へと変化しました。これも声調体系に影響を与えた重要な変化です。
資料
近古音を研究するための資料としては、当時の民間歌謡である散曲や戯曲の押韻が重要な情報源となります。これらの資料からは、当時の実際の発音を知ることができます。また、当時の中国語を研究した外国語文献や語学教科書も、貴重な資料です。
主な資料
これらの資料は、近古音の研究において、多角的な視点を提供してくれます。
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