近衛経家

近衛経家（このえ つねいえ）

近衛経家は、南北朝時代に活躍した公卿であり、関白左大臣・近衛経忠の子供です。彼は従三位・左近衛中将の官位を持ち、南朝に仕官した後は関白に昇進しました。大和国の平田荘に居住していたため、彼は「平田関白」として知られることになります。

経歴

彼の初期のキャリアは北朝でスタートしましたが、父親の経忠が南朝に出奔したことにより、叙爵が遅れる結果となりました。彼は正平元年/貞和2年に15歳で元服し、禁色を許されます。その後、正五位上・右近衛権少将に任命され、翌年には従四位上、さらに11月には従三位に昇進しました。

しかし、その後は北朝での昇進は見られず、正平8年/文和2年には実相寺に伊賀国平柿荘を寄進した際には、北朝の元号を用いたことが記録されています。また、南軍が京都を奪還した際には後光厳天皇を助けて延暦寺に避難し、そのころもなお北朝に仕えていたことが示唆されています。

ただし、正平11年/延文元年には佐々木道誉とともに幕府の権限をもって家門の復活を試みましたが、右大臣道嗣によって拒否されてしまいました。平田荘に住んでいた当時、経家は北朝での昇進に見切りをつけたのか、正平8年から南朝に仕官し、同11年まで関白を務めたと推察されています。

その後の動向については明確な記録がないものの、北朝での昇進が見られなかったことや、彼の子とされる人物が南朝で活動を続けていたことから、経家は南朝でも官職を持っていた可能性が高いと考えられます。定説として、正平15年ごろには再び関白に任じられていたとも言われています。

経家の名前は、正平19年/貞治3年に後村上天皇へ書物を進展させた際にも見られ、彼が関白職以外でも活躍していたことが示されています。さらに、文化的な側面でも彼の作品が『菟玖波集』に連歌として収められています。

系譜

経家の父は近衛経忠で、母は花山院家定の娘です。妻については詳細が不明ですが、子女には「近衛殿」と称される人が考えられています。その子孫についての記録は『尊卑分脈』や『摂家系図』には示されていませんが、南北朝合一の際に南朝の関白であった「近衛殿」が経家の子である可能性が高いとされています。この「近衛殿」は名が不詳で、後に花山院持忠に繋がる人物と考えられています。

脚注

経家に関する詳細な資料には、『大日本史料』や『新葉和歌集』の研究があり、彼の存在は歴史的にも重要なを占めています。また、嘉喜門院や「はにふの物語」といった関連にも触れられており、歴史の中で彼が果たした役割を理解するための参考が提供されています。

このように、近衛経家の生涯やその影響は、南北朝時代の混乱の中でも重要な位置を占めています。

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