道立自然公園野幌森林公園

道立自然公園野幌森林公園

北海道江別市、札幌市、北広島市にまたがる広大な道立自然公園、野幌森林公園は、都市近郊でありながら、まとまった面積の森林が残る貴重な場所です。その大部分が国有林であり、鳥獣保護区にも指定されています。1977年には昭和天皇在位50周年を記念し「昭和の森」にも指定されました。公園内には遊歩道が整備され、自然観察や森林浴が楽しめます。冬には歩くスキーコースが常設されますが、公園側はスキー専用ではないとしています。

歴史

1873年、開拓使によって約4,106ヘクタールが官林に指定されたのが始まりです。1885年には屯[[田兵]]の入植に伴い開拓が進みましたが、1890年に御料林となった後、1895年に禁伐林に指定されました。その後、払い下げの方針が示されましたが、地元の反対運動により阻止されました。1908年には国有林となり、野幌林業試験場の試験林となりました。1921年には一部が天然記念物に指定されました。

太平洋戦争中には伐採が進み、戦後には開墾のため農地解放も行われましたが、1951年には北海道植樹祭が開催され、森林再生への取り組みが始まりました。1952年には特別天然記念物に指定されましたが、台風被害により一部指定解除となりました。現在、特別天然記念物として指定されているのは、公園外の国有林の一部のみです。

1966年、北海道百年記念事業の一環として記念公園と記念地区の設置が決定。1970年には北海道百年記念塔、1971年には北海道開拓記念館（現北海道博物館）、1983年には北海道開拓の村が開園しました。2004年の台風では大きな被害を受けましたが、市民と協力して自然林を再生するプロジェクトが進められています。

年表

1873年：官林に設定
1890年：御料林となる
1894年：御料林解除
1908年：国有林となり、野幌林業試験場所属試験林となる
1921年：国の「天然紀念物」指定
1933年：野幌林業試験場が北海道林業試験場と改称
1936年：昭和天皇が行幸
1945年：2,053ヘクタール、115戸が入植
1947年：北海道林業試験場が帝室林野局北海道林業試験場と合同して林業試験場札幌支場となる
1952年：「特別天然記念物」指定
1953年：林業試験場札幌支場が北海道支場と改称し札幌市豊平へ移転
1959年：特別天然記念物の指定を一部解除
1962年：特別天然記念物の指定を一部解除
1968年：北海道が「道立自然公園」指定
1969年：国有林部分が「自然休養林」指定
1970年：北海道百年記念塔完成
1971年：北海道開拓記念館開館
1977年：「昭和の森」に指定
1983年：北海道開拓の村開村
1986年：「森林浴の森100選」選定
2001年：自然ふれあい交流館開館
2015年：北海道博物館開館
2023年：公園内に初のヒグマ注意報発出

自然

森林は、自然林と人工林が混在しており、自然林には落葉広葉樹と常葉針葉樹が見られます。ミズナラ、カツラ、シナノキなどの温帯性広葉樹やトドマツなどの亜寒帯性針葉樹が混生しています。かつて畑だった場所は草原となり、草原性の野鳥や昆虫が生息しています。

動物は、キツネ、タヌキ、ユキウサギ、エゾリス、エゾモモンガ、ヒメネズミなどの哺乳類、クマゲラ、フクロウ、オオルリ、キビタキ、シマエナガなどの野鳥が生息しています。また、オオルリオサムシ、ゲンゴロウなどの昆虫も見られます。

瑞穂池

公園内には、沢やため池が複数存在し、特に瑞穂池は、かつて水田耕作のために作られた貯水池です。1928年に完成しましたが、1955年に決壊し、1957年に復旧しました。現在は貯水池としての役割を終え、公園の池として親しまれています。

遊歩道

公園内には様々な遊歩道が整備されています。

桂コース：カツラの大木が見られ、野鳥観察に適しています。
大沢コース：トドマツの人工林や常緑低木が見られます。
エゾユズリハコース：カツラの大木やヤチダモなどが見られます。
四季美コース：天然林と人工林が混ざり、春にはミズバショウなどが見られます。
志文別線：トウヒやカラマツなどの人工林や、天然林が見られます。
モミジコース：多様な樹種が生育する天然林です。
カラマツコース：明治時代に植えられた針葉樹の大木が見られます。
エゾマツコース：沢沿いのコースで、天然林と人工林が見られます。
ふれあいコース：沢沿いの天然林や草原が見られます。
記念塔連絡線：草原や防風林、天然林が見られます。
開拓の沢線：沢沿いの天然林の中を縫う小道です。
瑞穂連絡線：人工林や広葉樹林、針広混交林が見られます。
基線：トドマツなどの人工林が続く平坦な道です。
瑞穂線：天然林が多く、野鳥に出会えます。
中央線：開拓跡地と人工林が見られます。
下野幌線：多様な森の姿が見られます。
登満別線：トドマツや広葉樹の天然林に沢や沼が点在しています。

施設

北海道百年記念塔：現在、危険防止のため立ち入り禁止です。
北海道博物館：自然史系の学芸員が配置されている総合博物館です。
北海道開拓の村：開拓時代の建物や生活様式を再現した野外博物館です。
北海道立埋蔵文化財センター：北海道の埋蔵文化財に関する展示や調査を行っています。
自然ふれあい交流館：公園の自然情報を提供するビジターセンターです。

アクセス

記念塔口：JR新札幌駅、森林公園駅、札幌駅、新千歳空港からバスと徒歩。
大沢口：JR新札幌駅、大麻駅からバスと徒歩。
瑞穂口：JR新札幌駅からバスと徒歩。
登満別口：JR野幌駅からバスと徒歩。
トド山口：JR新札幌駅からバスと徒歩。

脚注

参考文献は以下の通りです。
北海道庁 編『野幌国有林野生植物調査報告書』
北海道庁野幌林業試験場案内
『道立自然公園野幌森林公園要覧』
村野紀雄『自然ガイド野幌自然公園』
奥谷浩一「野幌森林公園における森林保護のための市民活動」

関連項目

日本の国有林
森林公園

外部リンク

道立自然公園野幌森林公園 北海道庁
道立自然公園野幌森林公園 | ようこそSAPPORO
* 道立自然公園野幌森林公園「えべつコレクション.jp」江別市公式観光情報サイト

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