達頭可汗

達頭可汗（タルドゥシュ・カガン）

達頭可汗（生没年不詳）は、6世紀後半に活躍した西突厥の可汗です。父は西突厥の創始者である室點蜜（イステミ）。達頭可汗は称号であり、姓は阿史那氏、名は玷厥（てんけつ）といいます。

生涯

576年頃、父の室點蜜の死後、西突厥の可汗に任ぜられました。同時期、東ローマ帝国はサーサーン朝ペルシアを挟撃するため、使節を派遣し同盟を提案。東西交易の要衝を支配する西突厥との連携を模索しました。

578年、北周の時代には、東突厥の大可汗である他鉢可汗（タトパル・カガン）が北周に侵攻。達頭可汗もこれに呼応し、酒泉を包囲しました。

582年、東突厥で内紛が発生。阿波可汗（アパ・カガン）が沙鉢略可汗（イシュバル・カガン）に追われ、達頭可汗のもとに亡命してきました。達頭可汗は阿波可汗に兵を与え、復讐を支援。これにより阿波可汗は勢力を拡大し、後の西突厥成立の礎となりました。

達頭可汗は当初、東突厥の都藍可汗と対立していましたが、隋の文帝の仲介により和解しました。

598年、達頭可汗はエフタルを征服。都藍可汗と同盟してアヴァールを討ったことを東ローマ皇帝に報告しています。

599年、東突厥で再び内紛が発生。都藍可汗と突利可汗が対立すると、達頭可汗は都藍可汗と結んで突利可汗を攻撃し、その一族を殺害しました。その後、都藍可汗が部下に殺害されると、達頭可汗は歩迦可汗と号し、啓民可汗となった突利可汗と対立。啓民可汗を支援する隋は、史万歳や楊広（後の煬帝）を派遣し、達頭可汗を破りました。達頭可汗は敗走し、弟の子である俟利発に命じて啓民可汗を攻撃させましたが、隋軍に再び敗れました。

601年、達頭可汗は再び大軍を率いて侵攻を試みましたが、隋軍に敗れて吐谷渾へ逃亡しました。これにより、西突厥は一時的に衰退しました。

子

莫賀咄侯屈利俟毗可汗

脚注

参考資料

『周書』（列伝第四十二 異域伝下）
『隋書』（列伝第四十九 北狄）
『新唐書』（列伝百四十上 西突厥）
護雅夫『古代トルコ民族史研究Ⅰ』（山川出版社、1967年）
内田吟風『北アジア史研究』（同朋舎出版、1975年）

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