鄧賢

鄧賢の生涯とその功績

鄧賢（とう けん）は中国の後漢・三国時代に活躍した武将であり、その生没年は不詳であるが、彼の名は『三国志』や羅貫中の小説『三国志演義』によって知られている。彼がどのような活躍をしたのか、また彼の物語がどのように描かれているのかを見ていこう。

事績について

『三国志』において、鄧賢は主に蜀書先主伝および魏書明帝紀注の『魏略』に記録されている。蜀書先主伝では、彼は劉璋の配下の将として登場し、建安18年（213年）に起こった劉備との軍事的対立の中で重要な役割を果たした。劉璋と劉備の関係が悪化した際、鄧賢は涪の地で劉備を迎撃しようとしたが、戦いには敗れ、彼は綿竹へ後退することとなった。

一方、明帝紀注『魏略』では、鄧賢は魏の新城太守・孟達の甥と記されている。ここでは孟達が蜀漢に内通しようとしたことが描かれ、その計画が司馬懿によって察知されて、新城が包囲されることになる。鄧賢は太和2年（228年）正月に同僚の李輔と共に、司馬懿の説得に応じて新城の城門を開き、降伏した。これにより、孟達の乱は鎮圧された。

『三国志演義』における描写

小説『三国志演義』では、鄧賢はまず第60回に登場し、劉璋配下の将として描かれる。劉璋は対張魯策として劉備を迎え入れるが、鄧賢は彼に対して忠告を送るキャラクターとして必要不可欠の存在である。続く第61回では、劉璋の宴席で劉備の側近の龐統が暗殺を計画するが、鄧賢と張任らはその陰謀を察知し、劉璋を守るために協力する場面が描写されている。

第62回では、劉備の叛意が明らかとなり、鄧賢は迎撃作戦に出動する。彼は冷苞と共に雒城の防衛のために砦を築くが、魏延の襲撃を受ける。冷苞が魏延の攻撃を返り討ちにするものの、鄧賢は撃退された魏延を追い詰めようとする。その時、黄忠が救援に入り、鄧賢は矢に当たり、最終的には討ち取られてしまう。

『三国志演義』では、劉璋配下の鄧賢は第62回で戦死するが、その後同名の「孟達の甥の鄧賢」が登場し、両者が異なる人物として描かれていることに注意が必要である。第94回において、鄧賢は再び登場し、彼と李輔は孟達の内通を密告する役割を担う。孟達は司馬懿によって包囲された新城を守るが、さまざまな陰謀が渦巻く中、最終的に鄧賢は司馬懿に城を明け渡す。

結論

鄧賢の物語は、三国時代の複雑な政治情勢と武将たちの争いを映し出している。彼の行動は、どのようにして動乱の時代に影響を与えたのか、そしてその後の歴史にどのように刻まれているのかを考える上で重要である。彼の立ち位置は、蜀と魏の狭間でいかに彼自身やその周囲の運命が変わっていったかを示しており、歴史的な背景を知ることなしには理解し難い部分も多い。

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