金峯山 (鳥取県)

金峯山の概要

金峯山（きんぶさん）は、鳥取県岩美町にそびえる標高328.71mの独立峰です。山頂には三等三角点「滝ノ肩」が設置されています。山頂付近には金峯神社があり、テレビアンテナが林立する光景も見られます。山頂まで舗装された道路が整備されており、車でのアクセスも可能ですが、道中には柱状節理などの見どころがあり、徒歩で訪れる登山者も多いです。山麓から山頂までは、徒歩で片道約1時間程度です。

地質と歴史

山体は鳥取花崗岩で構成されており、風化が進んでいます。斜面では土砂の崩壊も見られます。山頂部は流紋岩や石英安山岩質の凝灰岩で形成されています。

1945年頃から、山中で石炭が発見され、埋蔵量50万トン、良質な無煙炭と見込まれ、炭鉱が開発されました。関西・北陸地方へ出荷されましたが、想定よりも質が劣ったため、数年で閉山となりました。現在では、その痕跡をわずかに見ることができます。

自然

植生

標高100m以上の地域には、高地性の植物であるオオイワカガミやイワナシが見られます。山全体はアカマツの二次林に覆われていますが、山頂の神社周辺にはシイ、アカガシ、タブノキなどの常緑広葉樹林が広がっています。

かつて山頂には、航海の目印として「灯明のマツ」と呼ばれたアイグロマツがありましたが、現在は失われています。このマツは、岩美町の天然記念物に指定されていました。

動物

金峯山は、ギフチョウの生息地としても知られています。

金峯神社

金峯神社は、金峯山の山頂付近に鎮座する神社で、山名の由来にもなっています。祭神は天水分神、国水分神、勾大兄神です。近代社格制度では旧郷社に位置づけられています。

この神社は、奈良時代に大和国（現在の奈良県）の金峰山から勧請されたと伝えられています。蔵王権現を祀り、牧谷村にあったことから「牧谷権現」とも呼ばれていました。峰続きの牛ヶ峰山とともに、修験道の地としても知られていました。

社伝によると、1188年に源頼朝、1353年に山名氏清が領地を寄進したとされています。かつては32坊を擁する規模を誇っていましたが、豊臣秀吉の因幡侵攻の際に敵対したため滅ぼされ、それ以前の記録は失われました。

1713年、鳥取藩の淳光院によって再興されました。歴代の鳥取藩主池田氏の庇護を受けました。この時、同時に「竹美山竜王寺」も再興され、淳光院の住職が蔵王権現の神事と竜王寺の住職を兼務していました。

明治時代の神仏分離によって寺は廃止され、蔵王権現は「金峯神社」となりました。1932年に郷社に昇格しました。

参考資料

『日本地名大辞典 31 鳥取県（角川日本地名大辞典）』,角川書店,1982
『鳥取県大百科事典』,新日本海新聞社,1984
『鳥取県の地名（日本歴史地名大系）』,平凡社,1992
『新日本山岳誌』日本山岳会・編著,2005
『新・分県登山ガイド30 鳥取県の山』,藤原道弘・著,山と渓谷社,2010
『岩美町誌』,岩美町誌刊行委員会,1968
* 『鳥取県のすぐれた自然 -地形・地質編-』,豊島吉則・赤木三郎・岡田昭明・編,鳥取県衛生環境部自然保護課,1993,1994（第2版）

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