長野庬士

長野庬士（ながの あつし）

1944年3月20日生まれの日本の元大蔵官僚で、現在は弁護士として西村あさひ法律事務所のパートナーを務めています。血液型はB型です。

生い立ちと学歴

1959年に東京都立新宿高等学校に入学。同級生からは「学年で5・6番目の成績だったが、単なるガリ勉タイプではなかった」と評されています。その後、東京大学法学部に進学。在学中に国家公務員上級甲種試験（法律職）にトップ合格（岡田康彦、増渕稔と同点）、司法試験にも2位で合格するという、卓越した能力を発揮しました。東大法学部での成績も優秀で、唯一「良」の評価だった科目は財政学のみでした。

大蔵省入省から要職歴任

1966年に東京大学法学部を卒業後、大蔵省に入省し、大臣官房文書課に配属されました。その後、大臣官房調査企画課、経済企画庁への出向、豊岡税務署長、関税局企画課長補佐、銀行局総務課長補佐、同銀行課長補佐、大臣官房調査企画課長補佐、主計局主計官補佐（通産係主査）、外務省在イギリス大使館参事官、蔵相秘書官などを歴任しました。

特に1980年代後半の税制改正が活発だった時期には、主税局で課長職を務め、1990年6月には主税局総務課長に就任。1991年6月には大臣官房文書課長、1992年6月には近畿財務局長と、要職を歴任しました。

1993年7月には銀行局担当審議官に抜擢されます。これは、バブル崩壊によって金融機関の経営問題が深刻化し始めた時期であり、近畿財務局長として関西系金融機関の監督に当たっていた長野氏の手腕が期待されたためです。同時期には、主計局次長だった武藤敏郎氏、中島義雄氏とともに、事務次官の有力候補と目されていました。

金融ビッグバンと退官

1996年1月には証券局長に就任。金融改革期における金融ビッグバンを主導し、山一證券の破綻処理にも深く関わるなど、大蔵省が扱う実務の最前線で活躍しました。将来を嘱望されていましたが、大蔵省接待汚職事件に関与していたことが批判を浴び、1998年に減給処分を受け、大蔵省を退官しました。

弁護士としての新たなキャリア

大蔵省退官後、司法修習（第53期）を経て弁護士資格を取得。2000年10月に弁護士登録（第二東京弁護士会）を行い、2002年11月には西村ときわ法律事務所（現・西村あさひ法律事務所）のオブ・カウンセルに就任、2010年1月より同事務所のパートナーを務めています。また、2004年4月からは株式会社マルハニチロホールディングスの社外取締役も務めています。

主な略歴

1966年3月：東京大学法学部卒業
1966年4月：大蔵省入省（大臣官房文書課配属）
1968年4月：大臣官房調査企画課
1969年7月：経済企画庁国民生活局物価政策課専門調査員
1971年7月：豊岡税務署長
1972年7月：関税局企画課長補佐
1974年7月：銀行局総務課長補佐（日本銀行・企画）
1976年7月：銀行局銀行課長補佐（長銀・信託等）
1977年7月：大臣官房調査企画課長補佐（内国調査）
1979年7月：主計局主計官補佐（通産第一、二係主査）
1981年7月：主計局付（外務研修）
1982年4月：外務省在イギリス大使館一等書記官（のち参事官）
1985年6月：竹下登大蔵大臣秘書官
1986年7月：主税局税制第三課長
1987年6月：主税局調査課長
1988年6月：主税局税制第一課長
1990年6月：主税局総務課長
1991年6月：大臣官房文書課長
1992年6月：近畿財務局長
1993年7月：銀行局担当審議官
1996年1月：証券局長
1998年4月：大蔵省退官
1999年4月 - 2000年9月：司法修習
2000年10月：弁護士登録（第二東京弁護士会）
2002年11月：西村ときわ法律事務所（現・西村あさひ法律事務所）オブ・カウンセル
2004年4月：株式会社マルハニチロホールディングス社外取締役
2010年1月：西村あさひ法律事務所パートナー

同期入省者

長野氏と同期には、中山恭子、中山成彬、武藤敏郎（東京五輪・パラリンピック大会組織委員会事務総長、日銀副総裁、初代財務事務次官、主計局長）、阪田雅裕（内閣法制局長官）、岡田康彦（環境事務次官、弁護士）、中島義雄（財政金融研究所長、主計局次長）、佐藤謙、久保田勇夫（国土事務次官、関税局長）、塩田薫範（公正取引委員会事務総長）、剣持宣揚（大臣官房審議官）、新村淳一（弁護士）などがいます。

外部リンク

長野庬士 - 西村あさひ法律事務所

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