長野電鉄2100系電車

長野電鉄2100系電車「スノーモンキー」



長野電鉄2100系電車は、同鉄道が運行する特急形電車です。老朽化した2000系の代替として、JR東日本から譲渡された253系電車を改造したもので、愛称は「スノーモンキー」として親しまれています。

概要



長野電鉄では、長らく2000系電車が特急列車として活躍していましたが、製造から30年以上が経過し、老朽化が課題となっていました。そこで、2000系の置き換えを目的に導入されたのが、この2100系です。

種車となったのは、JR東日本の253系電車。かつては「成田エクスプレス」として活躍していましたが、E259系への置き換えにより余剰となった車両を譲り受け、改造を施しました。改造は、東急車輛製造横浜製作所(現:総合車両製作所横浜事業所)が担当しています。

「スノーモンキー」という愛称は、地獄谷野猿公苑で雪景色の中、温泉に入る猿の姿にちなんで名付けられました。後にロゴマークも制定され、E2編成に貼付されています。

構造



長野電鉄での運用開始にあたり、ワンマン運転に対応するための機器が設置されています。

車体



外観は、JR時代の面影を色濃く残していますが、前面のJRコーポレートマークは、長野電鉄の略称である「NER」に変更され、スノーモンキーのロゴが掲示されています。

E2編成は、2012年長野電鉄オリジナルの塗装に変更されました。また、全編成の1号車には、地獄谷野猿公苑で撮影されたニホンザルの写真が飾られています。

ヨーダンパや行先案内装置など、種車からそのまま引き継がれた設備も多く存在します。JR時代には装備されていなかった前面方向幕は、長野電鉄での運用開始後にサボを取り付ける形で設置されました。

先頭車の連結器は、当初、電気連結器を外した密着連結器でしたが、他車との連結の必要性から、後に小型密着自動連結器に交換されています。

車内



車内は全車禁煙で、外観同様、JR時代の設備が概ね維持されています。

1号車の湯田中間には、「Spa猿〜ん」という愛称のグリーン個室が設けられ、4人用の個室指定席となっています。開放室も、座席が回転リクライニングシートである点を除き、種車のままです。

2号車と3号車は、集団見合い式のシート配置が維持されています。自由席は、1人掛け2列の2号車11番(車いすスペース)を除き、1号車開放室を含め、すべて2人掛け4列です。

公衆電話や洗面台(鏡を除く)は撤去され、トイレ設備は機器室として閉鎖されています。

乗降ドアには、凍結防止ヒーターが内蔵されているほか、ドア開閉に連動して鳴動する4点式のドアチャイムが新たに設置されています。

車内アナウンスは、山崎昭夫氏が担当しています。

1号車は、日中に運行されるA特急での運用時のみ全席指定席となり、2号車と3号車は、A特急・B特急ともに自由席として利用できます。

編成



2100系は、3両編成で組成されています。長野電鉄では、8500系導入以降、運転台を有する制御電動車を「デハ」、運転台のない中間電動車を「モハ」と呼称しています。

運用



長野電鉄長野線のA特急とB特急で運用されています。通常、「のんびり号」(S特急)には運用されませんが、1000系の検査時には代走として運用されることがあります。

列車名は基本的に「特急」と案内され、「スノーモンキー」は車両自体の愛称として用いられます。

2014年6月には、8500系の車両点検の影響で、一部の普通列車に2100系が運用された事例があります。

他車とは異なり、「善光寺御開帳」や「バラまつり中野松川臨時停車」など、デザイン幕が方向幕に収録されているのも特徴です。

沿革



2010年(平成22年)
6月3日:JR東日本から253系2編成6両を譲り受けることが発表されました。
7月22日:JR東日本長野総合車両センターから、長野電鉄向けとして選定された2編成が、東急車輛製造横浜製作所へ入場しました。
10月1日10月31日:愛称の募集が行われました。
11月19日:車両愛称が「スノーモンキー」に決定しました。
12月24日:転用改造を終えた2編成が、長野電鉄へ引き渡されました。
2011年(平成23年)
2月18日須坂駅 - 信州中野駅間で、報道機関向けの試乗列車が運転されました。
2月20日長野駅 - 信州中野駅間で、試乗列車が運転されました。
2月26日:営業運転を開始しました。
2012年(平成24年)
9月8日:E2編成の塗装が新デザインに変更され、運行を開始しました。
2021年(令和3年)
6月1日:特急の4人用個室、および日中のA特急運用に限り、1号車が指定席となり、WEBページから予約が可能になりました。

参考文献



伊東丈志「長野電鉄に加わった人気もの 特急スノーモンキーが行く 箱根から転じたロマンスカー「ゆけむり」とも共演」『鉄道ジャーナル』第45巻第5号、鉄道ジャーナル社、2011年5月、76-81頁、ISSN 0288-2337。

外部リンク



長野電鉄2100系「スノーモンキー」デビュー記念企画 - 長野電鉄

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