間宮直元

間宮直元（まみや なおもと）は、元亀2年（1571年）に生まれ、慶長19年（1615年）に没した、安土桃山時代から江戸時代初期にかけての武将であり旗本です。彼は、初代生野奉行および佐渡奉行を務め、本牧代官を兼任した間宮本家（笹下間宮家）の初代としても知られています。妻は智性院であり、子に忠次、正信がいます。

出自と家督

宇多源氏佐々木氏の流れを汲む間宮家は、武蔵笹下城（現在の神奈川県横浜市港南区笹下）を居城とする武士であり、『小田原衆所領役帳』には玉縄衆としてその名が記されています。直元は、後北条家臣である間宮康信の子として生まれました。祖父は、天正18年（1590年）の伊豆国山中城の戦いで奮戦した康俊です。

父康信は天正10年（1582年）8月12日、甲斐国御坂の戦いで戦死（享年42）し、その後、直元が家督を継いだとされています。天正18年（1590年）の豊臣秀吉による小田原征伐では、祖父とともに奮戦しましたが、康俊は山中城の激戦で多くの一族とともに討ち死にし、後北条家当主氏直は降伏しました。

徳川家への仕官と幕府での活躍

氏直の死後、直元は徳川家康に仕え、間宮本家として下総国（印旛郡・千葉郡内）へ移り、千石の知行を受けました。この背景には、直元の叔母にあたるお久の方（普照院）が家康の側室であり、一族再興のために働きかけたことがありました。彼女の尽力により、甥の直元と高則のほか、叔父の氷収沢間宮家綱信（および子の正重・重信・頼次）は500石、弟の元重も旗本として登用され、彼らの家系は幕末まで存続しました。

その後、武蔵国久良岐郡で本牧代官職を務める傍ら、慶長3年（1598年）には初代生野奉行として生野銀山および周辺地域の支配を行いました。さらに、慶長18年（1613年）から佐渡奉行に1年間就任するなど、行政面でもその才能を発揮しました。

幕府の重要な役職を同時期に務めた直元は、家康や秀忠に重用され、特に秀忠とは召し抱えの相撲取り同士を対戦させて観戦するほどの親密な関係であったと、兵庫県・静岡県の歴史資料に伝えられています。

大坂の陣と最期

慶長19年（1614年）からの大坂の陣では、日向政成・島田直時らとともに大坂城総堀埋立作戦を立案し、大坂城攻略に大きく貢献しました。冬の陣では井伊直孝のもと従軍しましたが、同年12月25日に陣没しました。享年44。妙蓮寺に葬られ、法名は宗夢。子の彦次郎忠次が後を継ぎました。夏の陣においては、分家である間宮十左衛門家の新四郎盛定や庄五郎正秀が活躍しました。

忠次以降の子孫は、代々本牧代官を務めました。

その他一族

間宮海峡を発見した間宮林蔵は、康俊の子孫で間宮清右衛門系統の末裔です。蘭学医の杉田玄白の先祖である真野信安（近江源氏佐々木氏）は、かつて間宮姓を名乗っていました。康俊の4男信高は武田水軍でしたが、甲州征伐の際に徳川水軍として仕えました。綱信の子孫である江戸時代後期の旗本（御書院番）で、地理学者として著名な間宮士信は『小田原編年録』を編纂しており、これは後北条氏・間宮氏の研究において貴重な資料となっています。

参考文献

竹村紘一 - 横浜歴史研究会 ‐ 会員研究　間宮林蔵の先祖　間宮氏の流れ　竹村紘一
市史編さんだより - 四街道市

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