陳亀

陳亀（ちん き）

陳亀（生没年不詳）は、後漢時代の軍人であり政治家です。字は叔珍といい、上党郡泫氏県を本籍地としていました。彼は度遼将軍という重要な役職を務めました。

生い立ちと初期のキャリア

陳亀は代々、辺境で将軍を務めてきた家柄に生まれました。幼い頃から弓や馬術を学び、北方の州でその才能を発揮しました。永建年間には孝廉として推挙され、その後、五原太守にまで昇進しました。

使匈奴中郎将として

140年（永和5年）、陳亀は使匈奴中郎将に任命されました。しかし、この年に南匈奴の左部が反乱を起こしたため、彼は去特若尸逐就単于を厳しく責め立て、自殺に追い込みました。この責任を問われ、投獄された後に免官となりました。

京兆尹としての活躍

免官後、陳亀は再び官職に復帰し、京兆尹に任命されました。当時、三輔地域では豪族たちが庶民の財産を侵害する行為が横行していました。陳亀は着任すると、その威厳と公平な裁定によって、人々から大いに喜ばれました。

度遼将軍として辺境防衛に尽力

西方や北方の異民族が頻繁に辺境を侵犯し、官吏や民衆を殺掠していた時代、桓帝は辺境事情に精通している陳亀を度遼将軍に任命しました。陳亀は赴任にあたり、辺地の太守の人事刷新や、并州・涼州の租税免除を上奏し、桓帝はこれを受け入れました。彼の着任後、州郡は秩序を取り戻し、鮮卑も国境に近づくことを恐れるほどでした。

梁冀との対立と最期

しかし、大将軍・梁冀は陳亀と仲が悪く、彼が国威を損ない、功績を独り占めしていると讒言しました。陳亀は罪に問われて召還されると、引退を願い出て田舎に帰りました。その後、再び尚書として召還されましたが、梁冀の暴虐が日増しに酷くなるのを見て、陳亀は梁冀の罪状を上奏し、処刑を求めました。しかし、桓帝はこれを聞き入れませんでした。陳亀は、このままでは梁冀に害されることを悟り、7日間絶食して自ら命を絶ちました。

参考文献

* 『後漢書』巻51 列伝第41

もう一度検索