陳祖徳

陳祖徳（Chen Zude）

陳祖徳（ちん そとく、1944年2月19日 - 2012年11月1日）は、中国の囲碁棋士。上海市出身。現代中国囲碁界の礎を築いた人物として知られています。

生涯

幼少期より囲碁に親しみ、顧水如、劉棣懐に師事。その才能は早くから注目され、9歳の時には、かの有名な瀬越憲作に「第二の呉清源」とまで言わしめました。

しかし、日中関係の悪化により、日本への留学は実現しませんでした。その後、中国国内で研鑽を積み、1964年には全国囲棋個人戦で優勝。中国囲碁界における最初のプロ棋士五段となりました。

日中囲碁交流にも積極的に参加し、1965年には岩田達明九段に勝利。中国棋士として初めて日本の九段に互先で勝利するという快挙を成し遂げました。この勝利を記念して、対局で陳が用いた中国流布石を図案にした切手が発行されたことは、彼の功績を物語るエピソードと言えるでしょう。

文化大革命の時代には下放を経験するも、周恩来の計らいで北京に戻り、囲碁界への貢献を続けました。1979年の第1回世界アマチュア囲碁選手権戦では2位に入賞。1982年には、新しい段位制度のもとで、プロ棋士九段に認定されました。

1992年には中国棋院の初代院長に就任。中国囲碁界の発展に尽力しました。その功績が認められ、1994年には日本棋院から大倉賞を贈られています。

棋士としての活動以外にも、中国囲棋協会主席、中国国際象棋協会主席、中国象棋協会主席を歴任するなど、中国の知的ゲーム・スポーツの振興に幅広く貢献しました。

2012年11月1日、膵臓癌のため北京で逝去。彼の遺灰は、上海を流れる黄浦江に流されました。

プレースタイルと功績

陳祖徳は、中国流布石の研究・普及に大きく貢献しました。彼が安永一から紹介された布石を研究・実践したことがきっかけとなり、日本でも中国流布石が広まることとなりました。

タイトル歴

全国囲棋個人戦：1964年、1966年、1974年
海天杯囲棋国手元老戦：1997年
浙江電信通訊杯囲棋名手快棋招待戦：1999年
大老板杯元老戦：2003年
商業杯囲棋元老招待戦：2008年

その他の棋歴

世界アマチュア囲碁選手権戦 2位：1979年
新体育杯戦 準優勝：1979年
百年楽元老杯囲棋戦 準優勝：1992年
宝勝電纜杯囲棋戦 準優勝：1994年
STV杯新聞棋戦 準優勝：1995年
中国囲棋名人快棋招待戦 準優勝：1998年
博士山杯元老囲棋招待戦 準優勝：2005年
人居祭全国囲棋元老戦 準優勝：2006年
商業杯囲棋元老招待戦 準優勝：2006年、2007年
伊春元老杯 準優勝：2009年
河北体彩杯 準優勝：2009年
リコー杯囲棋混双戦 準優勝：2000年（華学明とペア）

著作

『超越自我』北京外交出版社 1989年
『中国囲棋史』中国統計出版社 1999年
『陳祖徳自伝—日中碁界、激動の三十年』邱茂訳 新潮社 1992年 ISBN 4105252011
* 『陳祖徳囲碁名局集』三一書房 1994年 ISBN 4380942465


陳祖徳は、中国囲碁界の発展に多大な貢献をした偉大な棋士として、その名が永く語り継がれることでしょう。

もう一度検索