陸奥石川氏

陸奥石川氏

陸奥石川氏は、清和[[源氏]]頼親流を祖とする日本の武家氏族です。奥州石川氏とも呼ばれ、その歴史は平安時代後期に遡ります。

起源

陸奥石川氏の祖は、源頼親の子である源頼遠とされています。頼遠は、1051年（永承6年）に子の有光とともに陸奥守源頼義に従い奥州に下向し、前九年の役で戦いました。頼遠は戦死しましたが、有光が軍を指揮し、1063年（康平6年）にその功績により従五位下安芸守に任じられ、陸奥国石川郡を賜りました。有光は石川郡泉郷に三芦城を築き、石川氏を名乗ったとされています。

奥州藤原氏との関係

平泉の柳之御所跡から出土した折敷墨書には「石川三郎殿」「石川太郎殿」という記述があり、陸奥石川氏が奥州藤原氏と婚姻関係によって連携していたことが示唆されています。また、石川元光（基光）の注には「母清衡娘」とあり、藤原清衡と石川氏との婚姻関係が確認できます。一方、石川光家の母は佐竹義業の娘であると伝えられています。さらに、石川義季の夫人は陸奥守藤原基成の娘であり、石川氏と奥州藤原氏との深い繋がりが伺えます。

源頼朝との関係

石川氏は、源頼朝による平家討伐にも関わっています。第6代広季は、源頼朝が挙兵したことを知ると、伯父光治率いる軍を鎌倉に送りました。また、頼朝は奥州藤原氏攻めの際に石川の地にある川辺八幡宮に戦勝祈願を行い、後に神料を寄進しています。しかし、1189年（文治5年）の奥州合戦では、石川二郎秀康が奥州藤原氏方についたため、源頼朝によって殺害されたとされています。

鎌倉時代

石川氏は、元光の子孫と光家の子孫に分かれ、鎌倉時代初期には光家流が惣領となりました。これは、元光の母が藤原清衡の娘であり、奥州合戦で奥州藤原氏に加担した者がいたことが影響していると考えられます。1195年（建久6年）には、沢井太郎（光義）と石河大炊介（光盛）が源頼朝による東大寺供養に従っています。1209年（承元3年）には、石川太郎光盛が子の石川大炊助光重に所領を譲渡しています。1221年（承久2年）の承久の乱では、光盛が所持していた石川荘の地頭職の一部が北条氏に改替されています。

1265年（文永2年）の「北条時宗裁許状」には、源有光の孫である石川光盛の名前が見えます。また、1275年（建治元年）の胎蔵界大日如来一尊塔婆には、源祐光という石川氏の人物と思われる名前が刻まれています。1261年（弘長元年）には、坂地八郎光信と石川大炊助光行が所領を巡って争っており、1298年（永仁6年）には石川光広が光行から越後国の所領を譲渡されています。

1323年（元亨3年）には、石河大炊助又太郎をはじめとする石川一族が北条貞時の13年忌に馬を献上しており、北条氏の御内人として活動していたことが伺えます。1327年（嘉暦2年）には、石河大炊助又太郎が蒲田総領を名乗っています。石川義光は、1333年（元弘3年）に新田義貞軍に加わり、鎌倉幕府滅亡後には新政権から官位を授けられています。

南北朝時代

南北朝時代には、石川氏は南朝方と北朝方に分かれて戦いました。石川時光や石川義光などが南朝方に属し、石川中務少輔や石川光時などが北朝方として活躍しました。1335年（建武2年）には、石川氏の「小平輩」が建武新政府に反乱を起こしましたが、鎮圧されました。石川義光は、足利尊氏に従軍して戦死し、その子光俊は所領を賜っています。また、石川光時は、大将軍石川孫太郎入道光念に従い、南朝方と戦いました。石川駿河守家は、吉良貞家に仕え、一族を率いました。

1367年（貞治6年）には、斯波直持の両使を務めています。石川駿河守は、吉良治家方に与したため、石川庄内の所領を失ったと考えられています。1429年（正長2年）には、石川孫三郎持光が文書紛失状を鎌倉府に提出しており、石川氏内部の混乱が窺えます。1440年（永享12年）の結城合戦では、結城方に属し足利満直を討伐しています。

戦国時代から江戸時代

第25代晴光は、1563年（永禄6年）に伊達晴宗の四男・小二郎（昭光）を養子に迎え、家督を譲りました。第26代昭光は、1590年（天正18年）の奥州仕置で所領を没収され、伊達氏に仕えることとなりました。伊達家臣としては、一門の筆頭として遇され、角田に要害を構えました。石川家は新田開発を進め、知行は2万1千石に達し、角田石川家と呼ばれました。

明治以降

幕末維新期の当主は邦光でした。維新後には士族に列しましたが、華族になることはありませんでした。邦光は角田町長を務め、華族への叙爵運動を行いましたが、実現しませんでした。

一族・庶流

石川氏からは、大寺氏、蓬田氏、蒲田氏、赤坂氏、矢吹氏、奈目津氏、中畑氏、坂地氏、沢田氏、小高氏、河尻氏、矢沢氏、次鎌氏、牧氏、高貫氏、沢井氏、相楽氏、塩田氏、大島氏、水野谷氏、板橋氏、古内氏、大館氏、大窪氏など、多くの支族が分立しました。

主要家臣・関連人物

(情報なし)

系図

(情報なし。実線は実子、点線は養子。括弧内は角田石川氏としての代数)

脚注

(情報なし)

参考文献

松田敬之『〈華族爵位〉請願人名辞典』吉川弘文館、2015年（平成27年）。ISBN 978-4642014724。

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