陽介仁

陽 介仁（ヤン・ジーレン、1959年9月16日 - ）は、台湾の台東市生まれの元プロ野球選手です。主に投手としてプレーし、右投げ右打ちでした。台湾の先住民族であるアミ族の出身です。

経歴

中国文化大学を卒業後、台湾空軍のアマチュアチームを経て、1984年にアマチュア球団として設立された兄弟飯店（現在の中信兄弟）に創設メンバーの一員として加わりました。

1985年末には、チームメイトの林易増らと共に日本へ渡り、社会人野球の阿部企業に入団。ここでは主力投手としてチームを牽引し、翌1986年には林易増や、他のチームからの補強選手と共に、第57回都市対抗野球大会に初出場。チームは8強入りを果たしました。さらに、同年の第13回社会人野球日本選手権大会にも初めて出場し、決勝でNTT東海に敗れたものの、準優勝という好成績を収めました。陽自身もこの大会で敢闘賞を受賞し、優秀選手に選出されています。

阿部企業には1990年まで所属し、この間、1988年には第30回IBAFワールドカップ、そして同年のソウルオリンピックに野球中華民国代表として選ばれています。

1990年シーズン終了後、台湾に戻り、中華職業棒球大聯盟（CPBL）の味全ドラゴンズと契約しました。ルーキーイヤーとなった1991年シーズンは目覚ましい活躍を見せ、特に7月19日の三商タイガース戦（台北市立棒球場）では、CPBL史上初のノーヒットノーランを達成しました。この年、19試合に登板して8勝0敗という圧倒的な成績を挙げ、無敗で勝率第一位のタイトルを獲得しました。

しかし、1995年頃に膝への負担を考慮して、投球フォームを長年慣れ親しんだアンダースローからサイドスローに変更したことを機に、成績が下降し、出場機会が大幅に減少しました。1998年には選手兼任の投手コーチとなりましたが、この年は試合での登板はありませんでした。同年の台湾シリーズでは、対戦相手の興農ブルズの主軸打者で、その年驚異的な打撃成績を残していたジェイ・カークパトリックに対し、チームの徹底した分析に基づき対策を練り、彼を効果的に抑え込むことに貢献。チームの台湾シリーズ優勝に貢献しました。

同年シーズンオフに味全を退団し、興農ブルズへ移籍しました。1999年シーズンも引き続き投手コーチを務めていましたが、チームが深刻な投手不足に陥った同年10月、突如として現役復帰を表明しました。10月14日の三商タイガース戦（新荘体育場野球場）で先発のマウンドに上がり、6回途中6失点（自責点2）という内容でした。

翌2000年シーズンから正式に現役選手として復帰し、主にリリーフ投手として登板しました。復帰後は再び腕の位置を下げたアンダースローに戻して投げていました。2001年シーズン終了後に二度目の現役引退を迎え、現在は故郷の台湾で野球指導者として活動しています。

プレースタイル・人物

アンダースローの独特な投球フォームが特徴で、スライダーやシンカーを決め球としていました。また、投手登録でしたが、1991年には左翼手として1試合、1995年には三塁手として3試合、遊撃手として1試合、野手として試合に出場した経験も持っています。

プロ野球界には多くの親族がおり、陽耀勲（元ソフトバンク、楽天モンキーズなど）、陽品華（元四国IL）、陽岱鋼（元日本ハム、巨人、オイシックス新潟など）の3兄弟、そして陽森（元誠泰、統一）は彼の甥（兄の子）にあたります。また、陽建福、張泰山、張奕といった選手たちも遠戚にあたります。

味全ドラゴンズ時代、特にルーキーイヤーの1991年シーズンに、三商タイガースに対して前述のノーヒットノーランを含め、7勝無敗という圧倒的な相性の良さを示したことから、「打虎英雄」（三商タイガースを打倒した英雄）というニックネームで呼ばれていました。

詳細な記録

• - タイトル

- 勝率王：1回（1991年）

• - 表彰

- 月間MVP：1回（投手部門：1991年7月）
- 社会人野球日本選手権大会 敢闘賞、優秀選手（1986年）

• - その他の記録

- CPBL史上初のノーヒットノーラン：1991年7月19日 対三商タイガース戦（台北市立棒球場）
- 開幕投手：1回（1995年）

• - 背番号

- 15（1991年 - 2001年）

• - 代表歴

- 第30回IBAFワールドカップ 中華民国代表（1988年）
- 1998年ソウルオリンピック 野球中華民国代表（1988年）

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