青州 (山東省)

青州（せいしゅう）

青州は、中国にかつて存在した州です。その領域と重要性は、時代とともに変化してきました。

先秦時代

青州は、上古の中国における九州の一つとして数えられています。その具体的な範囲については、『尚書』では泰山から黄海に至る「海岱」地域、『周礼』では中原から真東にあたる地域とされています。『尚書』によれば、州名の由来は、東方が五行思想において木に属し、木の色が青であることに由来します。

漢代

紀元前106年（元封5年）、漢の武帝が全国を13州に分割した際、現在の山東省に相当する地域が青州刺史部となりました。この地域は、平原、千乗、済南、斉郡、北海、東萊、菑川、膠東、高密の9郡を管轄していました。

前漢滅亡後の混乱期には、赤眉軍の根拠地となりましたが、光武帝によって鎮圧されました。後漢時代には臨朐が州治とされました。後漢末期には黄巾賊が勢力を拡大し、青州の黄巾賊は中国北部を荒らし回り、192年には兗州に侵攻して刺史の劉岱を討ちました。その後、兗州刺史となった曹操は、降伏した黄巾賊の兵30万人と非戦闘員100万人を受け入れ、その中から精鋭を選抜して「青州兵」として自軍に編入しました。その後、袁紹の子である袁譚が田楷や孔融との争いに勝利して青州を支配しましたが、最終的には曹操に敗れて青州を奪われました。その後も青州は賊の巣窟となり治安が不安定でしたが、曹操の部将である臧覇、孫観、夏侯淵、呂虔、牽招らが賊を討伐し、青州刺史となった王淩が優れた政治を行ったことで、ようやく治安が回復しました。

魏晋南北朝時代

永嘉の乱以降の動乱期には、青州は曹嶷、後趙、段龕、前燕、前秦、南燕といった様々な勢力によって支配者が目まぐるしく変わりました。劉裕の北伐によって東晋が青州を占領すると、東晋は既に現在の淮安市周辺に僑州として青州を置いていたため、本来の青州を「北青州」、僑州を「南青州」と区別しました。北魏が青州を占領した後もこの区分を継承し、青州と南青州を併置しました。東晋の安帝の時代には、州治が東陽城に移され、北斉の天保7年（556年）には南陽城に移されました。南朝宋の文帝時代には冀州（後の斉州）、470年（皇興4年）には光州に分割されるなど、細分化が進みました。

隋代

隋代初期の青州は、3郡7県を管轄していました。607年（大業3年）に州が廃止されて郡が置かれると、青州は北海郡と改称され、10県を管轄しました。

唐代

621年（武徳4年）、唐によって北海郡は青州と改められました。742年（天宝元年）には再び北海郡と改称されましたが、758年（乾元元年）には青州の名称に戻されました。青州は河南道に属し、益都、臨朐、寿光、北海、博昌、千乗、臨淄の7県を管轄しました。唐末には淄青平盧節度使の王師範が割拠しましたが、後に後梁によって滅ぼされました。

宋代

宋代には、青州は京東東路に属し、益都、臨朐、寿光、博興、千乗、臨淄の6県を管轄しました。

金代

金が青州を占領すると、1138年（天眷元年）に青州は益都府に昇格しました。益都府は山東東路に属し、益都、臨朐、穆陵、寿光、博興、楽安、臨淄の7県と広陵、博昌、淳化、新鎮、高家港、清河、王家の7鎮を管轄しました。金末には軍閥の李璮が割拠しましたが、モンゴル帝国によって滅ぼされました。

元代

1266年（至元3年）、モンゴル帝国によって益都府は益都路と改められました。益都路は中書省に属し、録事司と6県8州州領15県を管轄しました。1367年、朱元璋によって益都路は青州府と改められました。

明代以降

明代には、青州府は山東省に属し、直属の益都、臨淄、臨朐、寿光、博興、高苑、楽安、昌楽、安丘、諸城、蒙陰の11県と莒州に属する沂水、日照の2県、合わせて1州13県を管轄しました。清代にも青州府は山東省に属し、益都、博山、臨淄、臨朐、寿光、博興、高苑、楽安、昌楽、安丘、諸城の11県を管轄しました。1913年、中華民国によって青州府は廃止されました。

もう一度検索