青蓮寺 (鎌倉市)

青蓮寺（しょうれんじ）

青蓮寺は、神奈川県鎌倉市手広に位置する高野山真言宗の寺院です。飯盛山仁王院青蓮寺と号し、高野山宝寿院の末寺にあたります。高野山真言宗の準別格本山であり、関東八十八ヶ所霊場の第五十九番札所、東国新四国八十八箇所霊場の第八十八番結願札所、相州二十一箇所霊場の第十九番札所として、多くの巡礼者や参拝客が訪れます。

歴史

寺伝によれば、弘仁10年（819年）に空海（弘法大師）によって開山され、長禄年中に善海によって再興されたと伝えられています。天正19年（1591年）には徳川家康から手広村に25石の寄進を受け、関東壇林三十四院の一つとして寺格を高く評価されていました。しかし、天保4年（1833年）の火災と関東大震災によって寺院が倒壊し、多くの史料が散逸したため、詳しい歴史は不明な点が多く残されています。

近世初期には相模国に30以上の末寺を抱えていましたが、江戸時代中期以降は無住または廃寺となる寺院が多く、寺院経営は困難であったようです。

寺には、弘法大師が飯盛山で修行中に天女から仏舎利を託され、翌朝に青い蓮華が一面に咲いていたという伝承があり、寺の名前の由来となっています。飯盛山は、宅地化が進んだ周辺地域の中で比較的豊かな自然が残っており、鎌倉市がその自然環境を保護する取り組みを進めています。

青蓮寺は神奈川県道304号腰越大船線と旧江ノ島道に面しており、かつては旧江ノ島道から青蓮寺へ抜ける洞門が存在しましたが、県道304号の開通の際に山ごと切り崩され、現在は入り口が封鎖されています。洞門の付近には庚申塔があり、かつては村の境界であったと推測されています。

昭和25年には、当時の住職であった草繋全宣師が京都大覚寺門跡に栄晋された際に、多数の末寺が大覚寺末となりました。

境内

重要文化財

木造弘法大師坐像
蓮唐草蒔絵箱形礼盤・黒漆華形大壇

本尊は鎌倉時代に作られた木造弘法大師坐像で、国の重要文化財に指定されています。この仏像は両膝などの関節が鎖で結ばれており、動かすことができる珍しい構造から、「鎖大師」とも呼ばれています。秘仏であり、毎年大晦日をはじめとする年に5回開帳されます。元々は鶴岡八幡宮にあったものが、明治時代の廃仏毀釈の際に青蓮寺に移されました。

椿地蔵

寺から200～300メートル離れた県道304号線手広交差点付近（旧江ノ島道沿い）には、弘法大師一千年忌供養塔が建っており、その脇には椿地蔵と呼ばれる石造地蔵菩薩像があります。これらは青蓮寺の住職が管理しており、毎年8月14日に椿地蔵の脇で祭りが行われています。椿地蔵はいぼの治癒に効果があるとされ、「いぼ地蔵」とも呼ばれ、信仰を集めています。

塔頭

江戸時代には2つの塔頭寺院があったと伝えられており、そのうちの一つである手広山寶積院薬王寺が境内に再建されています。本尊は薬師如来です。寶積院は、江戸時代までは手広熊野神社の管理運営にあたる別当を務めていました。寶積院は本質的には地下納骨堂であり、その名残は4月第3土曜日に営まれる正御影供大祭に見ることができます。

年中行事

1月1日：元朝護摩
1月21日：初大師
4月8日：花祭り
4月第3土曜日：正御影供大祭
6月15日：青葉祭り
8月16日：施餓鬼法会
12月21日：納め弘法

交通

江ノ電バス「鎖大師」バス停下車

参考文献

鎌倉市鎌倉市史編纂委員会、1959、『鎌倉市史』社寺編、鎌倉市
かまくら春秋社編、2001、『鎌倉の寺小事典』かまくら春秋社 ISBN 4774001732
吉田 茂穂、2002『鎌倉の神社小事典』かまくら春秋社 ISBN 4774002054
「深澤庄 青蓮寺」『大日本地誌大系』 第40巻新編相模国風土記稿5巻之105村里部鎌倉郡巻之37、雄山閣、1932年8月。

関連項目

熊野神社 (手広) – 飯盛山北側の谷戸にある神社。手広の鎮守社。かつて青蓮寺が別当をつとめた。
日本の寺院一覧
青蓮寺 – 全国の同名の寺院。
鎌倉市内の寺院一覧

外部リンク

* 鎖大師 青蓮寺 – 公式サイト

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