飯香岡八幡宮

飯香岡八幡宮について

飯香岡八幡宮（いいがおかはちまんぐう）は、千葉県市原市八幡に鎮座する神社です。「八幡」という地名の由来になったとされ、地元では「八幡様」として親しまれています。房総の魅力500選、ちば遺産100選にも選定されており、その歴史と文化的な価値が高く評価されています。

歴史

飯香岡八幡宮は、その起源を7世紀後半に遡ることができます。当初は六所御影神社と呼ばれていましたが、白鳳年間（675年）に一国一社の八幡宮として勧請されたと伝えられています。天平宝字3年（759年）には、全国放生の地に鎮座する国府八幡宮と定められ、上総国の古社として、国府司祭の放生会を現在に伝えています。中世以降は上総総社としての機能も持ち、国府総社とも尊称されました。

保元3年（1158年）には、山城国の石清水八幡宮の記録に「上総国市原別宮」と記載され、石清水八幡宮の別宮として、源氏、千葉氏、足利氏、徳川氏など、多くの武将から崇敬を集めました。

徳川家康からは、所領150石を安堵され、10万石の格式を与えられ、明治時代に至ります。旧社格は県社です。

昭和43年（1968年）には、本社の別宮として辰巳台神社が祀られました。

略年表

景行天皇40年（110年）頃：日本武尊が東征の際、六所御影神社で休息。社人が尊に食事を捧げた際、飯の香りを賞した故事により、御影山を「飯香岡」と呼ぶようになったと伝わる。
天武天皇白鳳4年（675年）：勅使桜町季満・奉幣使菅原時春が下向し、神殿を飯香岡に創建して誉田別尊以下三神を奉斎。勅使桜町季満が和歌を詠む。
天平勝宝元年（749年）：社殿を造営。
天平宝字3年（759年）：勅命により一国一社の八幡宮となり、国府総社と称される。
元慶3年（879年）：朝廷により社殿が造営される。
天慶3年（940年）：社殿を造営。
寛弘5年（1008年）：鎮守府将軍源頼光により社殿が造営される。
康平7年（1064年）：鎮守府将軍源頼義が造営料として米1000石を寄進。
治暦元年（1065年）：源頼義の寄進により、社殿を造営。
寛治5年（1091年）：源義家が鉄製矢筒一箇と矢鏃二本を寄進。
保元3年（1158年）：石清水八幡宮諸国荘園官符中に「上総国市原別宮」の記事。
承安元年（1171年）：千葉常胤が武運長久・家門繁栄を祈願し、社殿の修理。
治承4年（1180年）：源頼朝が太刀一振を奉納。
建久3年（1192年）：源頼朝が飯香岡八幡宮を保護するため、府中・五井・惣社・市原・菊間・八幡郷へ禁制の制札を掲げさせる。
建久4年（1193年）：源頼朝が天下掌握の祈願のため宮殿を新造。
正嘉2年（1258年）：市東荘領主左右衛門尉藤綱が祈願成就のため太刀一振を奉納。
弘安4年（1281年）：征夷大将軍惟康親王が幣帛を奉ぜさせ、太刀一振・弓一張を奉納。蒙古襲来（元寇）により、国家安穏・武運長久の祈祷。
14世紀前半：鎌倉幕府管領長崎高資が、大輔律師俊珎を上総国市原荘八幡宮（飯香岡八幡宮）別当に補任。
正平5年・観応元年（1350年）：室町幕府執事高師直が、地蔵院僧正覚雄を上総国市原八幡宮（飯香岡八幡宮）の別当職に補任。
正平6年・観応2年（1351年）：武田資嗣が、幕府の命を受けて上総国市原八幡宮（飯香岡八幡宮）別当職を醍醐寺地蔵院僧正覚雄に交付。
正平13年・延文3年（1358年）：神事の流鏑馬を務めていた円蔵が剃髪し、円蔵坊源明と解明。
正平24年・応安2年（1369年）：足利義満が祈願のため宮殿を造営。
弘和3年・永徳3年（1383年）：足利義満が社殿を改造。
正中元年・至徳元年（1384年）：足利義満が祈願成就により御輿4社を造立し奉納。
正中4年・嘉慶元年（1387年）：足利義満が祈願のため一の大鳥居を寄進。
長禄3年（1459年）：足利義政が本殿修復に加えて幣殿・拝殿・向拝・神前石檀石・瑞籬等を建立。
寛正元年（1460年）：足利義明が社殿を新造。
寛正6年（1465年）：足利義明の舎弟源基頼が太刀一振を奉納。
文明元年（1469年）：足利義明の祈願により、檜皮葺屋根を銅板葺屋根に葺替えし、その外造営の寄進。
天文8年（1539年）：小弓御所御殿の跡へ白幡権現の社を勧請。
永禄2年（1559年）：千葉介平富胤舎弟菊間城主千葉源三平親胤が祈願により一の鳥居を再建寄進。
天正18年（1590年）：徳川家要所青山藤蔵が、由緒・神領・除地等を調べる。
天正19年（1591年）：徳川家康が神領150石を寄進。
天正20年（1592年）：本多弥八郎正綱が、徳川家康の武運長久を祈り大太刀を寄進。
文禄3年（1594年）：一宇を造立。
元和2年（1616年）：徳川家康に東照大権現の神号宣下につき、御神忌祭を毎年執行。
元和3年（1617年）：徳川秀忠が鉄扇1箇を寄進。
寛永7年（1630年）：徳川秀忠・家光日光東照宮社参につき、三日間武運長久の祈願。また、足利義満奉納の御輿4社の修理。
寛永13年（1636年）：徳川家光が太刀一振りを奉納。
承応2年（1653年）：大鳥居を修復。
明暦元年（1655年）：梵鐘を鋳造。
元禄4年（1691年）：堀飛騨守直宥・大久保伊豆守が、幣殿・拝殿改造のために寄進。
元禄7年（1694年）：飯香岡八幡宮放生会に際し、榊原七良右衛門が雄鳩1096羽を放つ。
元禄8年（1695年）：境内社御影社が、杉井三左右衛門常政により再建。
元禄10年（1697年）：瑞垣が、杉井三左右衛門常政により造営。『飯香岡八幡宮由緒本記』成立。
正徳5年（1715年）：日光東照宮一百年祭に際し、臨時大祭を3日間行う。
享保13年（1728年）：徳川吉宗日光東照宮社参につき、天下太平・武運長久の祈願を3日間。
宝暦10年（1760年）：『飯香岡八幡宮御伝記』が成立。
文化12年（1815年）：東照宮二百年祭に当たり、府中及び翼下8ヶ村に廻文を廻し臨時大祭。
文政2年（1819年）：『年中神祭行事書留』を記し置く。
弘化2年（1845年）：一の宮・二の宮・三の宮・若宮の神輿を新造。
万延元年（1860年）：生実城主森川出羽守が太刀一振を奉納。
明治4年（1871年）：郷社に列格。
明治26年（1893年）：県社に列する。
昭和29年（1954年）：本殿が、国の重要文化財に指定される。
昭和41年（1966年）：拝殿が、県指定文化財となる。

飯香岡八幡宮に関わる風習

飯香岡八幡宮では、秋季大祭当日（旧暦8月15日）に子育て祈願や虫封じなど、子供に関する祈願を受ける習わしがあり、「子育て八幡宮」とも呼ばれています。

また、神立祭（かみたちさい・旧暦9月30日）には、未婚の子女を持つ家が参拝し、良縁を祈る風習があります。この日は、神が出雲へ旅立つ日とされ、出雲の地で全国より集まった神々が縁談を取り持つと伝えられています。

文化財

重要文化財（国指定）
本殿：室町時代中期（1393年-1466年）の建立。桁行三間、梁間二間、一重、入母屋造、向拝三間、銅板葺。
千葉県指定有形文化財
拝殿
御輿
市原市指定有形文化財
大太刀
当世具足11領
千葉県指定天然記念物
夫婦銀杏
千葉県指定無形民俗文化財
市原の柳楯神事

所在地

千葉県市原市八幡1057-1

アクセス

最寄り駅はJR内房線八幡宿駅です。西口から徒歩でアクセスできます。



飯香岡八幡宮は、歴史と文化が息づく、地域にとって重要な神社です。訪れる際には、その歴史と文化に触れ、神聖な雰囲気を味わってみてください。

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