高橋作衛

高橋作衛

高橋作衛（たかはし さくえ、1867年11月5日 - 1920年9月12日）は、明治から大正にかけて活躍した日本の法学者、政治家です。国際法を専門とし、東京帝国大学（現在の東京大学）の名誉教授を務めました。また、帝国学士院会員、貴族院議員、法制局長官など、要職を歴任し、日本の法学、政治の発展に貢献しました。

生い立ちと学歴

高橋作衛は、1867年、肥前国（現在の長崎県）で、信濃国高遠藩の儒学者、高橋白山の長男として生まれました。幼少期から学問に励み、第一高等学校を経て、1894年9月に帝国大学法科大学政治学科を首席で卒業しました。その後、大学院に進み、国際法の研究に打ち込みました。

海軍での活動と留学

大学卒業後、高橋は海軍教授に任官し、日清戦争では常備艦隊司令長官付の幕僚として、また、旅順口根拠地司令長官付として通訳を務めました。その後、海軍大学校に勤務し、1897年9月からはイギリス、フランス、ドイツへ留学しました。留学中には、国際法の研究を深め、1899年7月に東京帝大大学院を修了、1900年2月に法学博士号を取得しました。

東京帝国大学教授として

1901年6月、高橋は東京帝大法科大学教授に就任し、国際公法第二講座を担当しました。以後、国際法の教育と研究に尽力し、多くの後進を育成しました。また、海軍省嘱託、海大教授嘱託なども務め、1907年から1908年にかけてはカーン奨学金を受けて欧米に出張し、国際法研究をさらに深めました。1908年には、帝国学士院会員に就任し、その学術的な業績が認められました。

政治家としての活動

1914年4月、高橋は第2次大隈内閣の法制局長官に就任し、1916年10月まで在任しました。法制局長官として、法律の制定や改正に携わり、日本の法制度の整備に貢献しました。同年10月には東京帝大教授を辞任し、貴族院勅選議員に任命され、同成会に所属し、政治家としても活躍しました。

その他の活動

高橋は、陸軍軍医学校講師、大喪使事務官、高等捕獲審検所評定官、大礼使参与官、文官高等試験委員長、共通法規調査委員長、鉄道院職員救済組合審査会議長、明治神宮造営局評議員、軍需評議会評議員、国際法学会長など、様々な公職を歴任しました。多岐にわたる分野で活躍し、日本の発展に貢献しました。

対露強硬論

1903年6月、日露戦争開戦直前には、戸水寛人、富井政章、小野塚喜平次、金井延、寺尾亨、中村進午らと共に、対露強硬論の意見書を作成し、政府に提出しました（七博士意見書）。この意見書は、当時の日本の対外政策に大きな影響を与えました。

死去

1920年、高橋作衛は肉腫のため、52歳で死去しました。彼の墓所は、東京都文京区小石川の伝通院にあります。

栄典

高橋は、その功績により、以下の位階と勲章を受けています。

1914年（大正3年）5月11日 - 従四位
1910年（明治43年）12月26日 - 勲四等瑞宝章
1915年（大正4年）11月10日 - 大礼記念章
1916年（大正5年）1月19日 - 勲二等瑞宝章
1916年（大正5年）4月1日 - 旭日重光章

著書

高橋は、多くの著書を執筆しました。主な著書は以下の通りです。

『平時国際公法』（1903年）
『英船高陞号之撃沈』（1903年）
『満洲問題之解決』（1904年）
『戦時国際法要論』（1905年）
『日露戦争国際事件要論』（1905年）
『戦時国際法理先例論』（1907年）
『日米之新関係』（1910年）
『戦時国際公法』（1912年）
『国際法外交条規』（1912年）
『国際法大意』（1913年）
『超然録』（1920年）

これらの著書は、当時の国際法研究に大きな影響を与え、現代の国際法研究においても重要な参考文献となっています。

まとめ

高橋作衛は、国際法の研究者、教育者、政治家として、日本の発展に大きく貢献しました。その功績は、今日の日本の法学、政治の礎となっています。

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