金井延

金井延（かない のぶる）

金井延は、1865年（元治2年）に生まれ、1933年（昭和8年）に没した、日本の法学者、経済学者、社会政策学者です。法学博士の学位を持ち、日露戦争開戦時に強硬な主戦論を唱えたことで知られています。また、「東大七博士」の一人としてもその名が知られています。

生涯

静岡県出身の金井延は、東京帝国大学を卒業後、ドイツへ留学し、グスタフ・フォン・シュモラーやアドルフ・ワグナーといった著名な学者に師事しました。帰国後は、社会政策学会の中心メンバーとして活躍する傍ら、東京帝国大学で法科大学教授を務めました。1919年に同大学に経済学部が新設されると、初代学部長に就任し、1925年までその職を務めました。

ドイツ留学で培った経済学や社会政策の知識を基に、帰国後は社会政策学会で中心的な役割を果たし、自由主義経済への批判や、国家による労働者保護、金銀複本位制度の提唱などを行いました。1903年6月には、戸水寛人、富井政章、寺尾亨、高橋作衛、小野塚喜平次、中村進午らとともに、日露戦争開戦を主張する意見書（七博士意見書）を提出し、世論を開戦へと導く上で大きな役割を果たしました。また、日露講和条約にも反対するなど、一貫して強硬な姿勢を貫きました。

1908年11月28日には、帝国学士院会員に選出されました。墓所は青山霊園にあります。

家族

妻は、大久保春野の長女である「きよ」です。次女の「国子」は、経済学者の河合栄治郎と結婚しました。

栄典

金井延は、その功績により、数々の位階と勲章を受けています。

位階

1891年（明治24年）12月21日 - 正七位
1897年（明治30年）2月10日 - 正六位
1901年（明治34年）8月31日 - 正五位
1906年（明治39年）10月20日 - 従四位
1911年（明治44年）12月11日 - 正四位
1917年（大正6年）1月10日 - 従三位

勲章等

1915年（大正4年）11月10日 - 大礼記念章
1921年（大正10年）7月1日 - 第一回国勢調査記念章
1924年（大正13年）6月30日 - 勲一等瑞宝章

著作

金井延は、以下のような著作を著しました。

『経済学』（1894年）
『社会経済学』（1902年）

また、佐々木多門の『経済学派比較評論』を校閲し、アーネスト・フェノロサの『フェノロサの社会学講義』の筆記も行いました。

さらに、金井教授在職25周年を記念して、門下生らによって『金井教授在職二十五年記念 最近社会政策』が編纂されました。

関連事項

七博士意見書
高野岩三郎
福田徳三
社会政策学会
和田垣謙三

外部リンク

金井延 - コトバンク
金井延｜近代日本人の肖像 - 国立国会図書館
金井延 (初版) - 『人事興信録』データベース
金井延 (第4版) - 『人事興信録』データベース
* 金井延 (第8版) - 『人事興信録』データベース

もう一度検索