高石真五郎

高石真五郎：ジャーナリズムとスポーツ振興に捧げた生涯

高石真五郎（1878年9月22日 - 1967年2月25日）は、明治から昭和にかけての激動期に、ジャーナリスト、実業家、そして国際オリンピック委員会（IOC）委員として、日本の言論界とスポーツ界に大きな足跡を残した人物です。毎日新聞社での長年のキャリアと、国際舞台での活躍は、彼の多才さと情熱を物語っています。

ジャーナリストとしての出発

千葉県に生まれた高石は、慶應義塾大学法学部を卒業後、大阪[[毎日新聞]]社に入社しました。当初は外国通信部員としてキャリアをスタートさせましたが、その才能はすぐに開花します。イギリス留学を経て、日露戦争時には特派員としてロシアに滞在、現地の状況を詳細に日本に伝えました。この時、文豪レフ・トルストイとの面会を果たしたことは、彼の国際感覚を物語るエピソードの一つです。

1907年、オランダのハーグに特派員として派遣された際、高石は「ハーグ密使事件」をスクープします。これは、大韓帝国皇帝・高宗が第二次日韓協約の無効を訴えるため密使を送った事件で、高石は唯一、密使と面会し取材した日本人記者でした。このスクープは、高石のジャーナリストとしての名を世界に知らしめることとなりました。

毎日新聞社での活躍

帰国後、高石は外国通信部長、政治部長を経て、1936年には編集主幹に就任。第一線の記者として活躍を続ける傍ら、海外への視察や外遊を重ね、国際的な人脈を築きました。1938年には会長兼主筆に就任し、毎日新聞社の経営にも深く関与します。

第二次世界大戦後、高石は社長に就任しますが、戦争責任を明確にするため、わずか2ヶ月で辞任。その後、相談役、最高顧問として新聞界を支えましたが、公職追放により一時的に新聞社を離れることとなります。追放解除後、名誉顧問、そして再び最高顧問として、毎日新聞社だけでなく、新聞界全体への提言を続けました。

IOC委員としての貢献

高石は、1939年にIOC委員に就任しましたが、第二次世界大戦の影響で、本格的な活動は戦後まで持ち越しとなりました。1960年の東京オリンピック招致活動では、外国人との交流に長けた高石の存在が不可欠となり、その尽力は招致成功に大きく貢献しました。

1958年のIOC東京総会では、病床から「東京開催を見るまで死ねない」と訴え、関係者に大きな感動を与えました。そして、1964年の東京オリンピック開催決定後、高石は地元のIOC委員として、大会の成功に尽力します。特に男子マラソン競技では、円谷幸吉選手に銅メダルを授与する役割を果たしました。

札幌オリンピックの招致活動においても、高石は病床から他のIOC委員に協力を訴える書状を送付。自らのメッセージを録音したテープを総会で流すという異例の行動も、招致決定に大きく影響しました。彼の録音テープは、現在も札幌オリンピックミュージアムに保管されています。

スポーツ振興への情熱

高石はIOC委員としての活動だけでなく、日本国内のスポーツ振興にも尽力しました。日本ビリヤード協会の会長を務めたほか、日本自転車振興会の会長として、競輪の存続に尽力しました。また、自身も慶應義塾大学時代に野球部に所属し、ゴルフ愛好家としても名を馳せました。87歳までエージシュートを目指してプレーしたことは、彼の生涯を通じたスポーツへの情熱を物語っています。

晩年と栄誉

高石真五郎は、1967年に肺癌のため88歳で死去しました。その生涯は、ジャーナリズムとスポーツ振興に捧げられました。1961年には新聞文化賞、1964年には勲一等瑞宝章、1966年には文化功労者を受賞。没後、正三位勲一等旭日大綬章が追贈されました。高石真五郎の功績は、日本の言論界とスポーツ界において、永遠に語り継がれることでしょう。

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