鮫島博一

鮫島博一：海軍と海上自衛隊を駆け抜けた航空のスペシャリスト

鮫島博一（さめじま ひろいち）は、1918年（大正7年）10月26日に生まれ、2000年（平成12年）8月14日に亡くなった、日本の海軍軍人、そして海上自衛官です。鹿児島県出身の鮫島は、旧制第一鹿児島中学から海軍兵学校へと進み、エリート軍人としての道を歩み始めました。海軍兵学校では66期生として学び、卒業後は海軍の航空部隊でパイロットとして活躍しました。

海軍での活躍：空母パイロットから技術開発へ

鮫島は、海軍時代に艦上攻撃機のパイロットとして頭角を現しました。飛行学生を首席で卒業するという優秀な成績を収め、開戦初期には空母「龍驤」に乗り組み、ダッチハーバー空襲などの作戦に参加しました。しかし、その後は陸上勤務となり、海軍航空技術廠ではテストパイロットとして、水平爆撃用の照準器や反跳爆弾の研究開発に携わりました。さらに、陸上攻撃機「連山」の開発にも参加するなど、技術者としての才能も発揮しました。

戦後の転身：海上自衛隊の創設に貢献

終戦後、鮫島は公職追放となり、一時軍を離れることになりました。しかし、追放解除後に海上保安庁から海上警備隊を経て海上自衛隊に入隊し、再び軍人としてのキャリアをスタートさせました。入隊後、第1回幹部特別操縦講習員として操縦桿を握りましたが、翌年には駐米防衛駐在官に任命され、その後はパイロットとしての活動から離れ、防衛政策や航空機の導入に尽力しました。特に、P2V-7やS-2Fといった航空機の導入に深く関わり、海上自衛隊航空の基礎を築いた功績は非常に大きいと言えるでしょう。

海上幕僚長への道：防衛畑を歩む

帰国後の鮫島は、海上幕僚監部で防衛班長、業務班長、防衛課長、防衛部長といった要職を歴任し、防衛畑でのキャリアを積み重ねました。その後、教育[[航空集団]]司令官、航空集団司令官を経て、ついに第10代海上幕僚長に就任しました。航空畑出身者としては初の海上幕僚長であり、その手腕が期待されました。在任中には、第十雄洋丸事件が発生し、その対応に追われる場面もありました。

統合幕僚会議議長として

海上幕僚長退任後、鮫島は第9代統合幕僚会議議長に就任しました。統合幕僚会議議長は、自衛隊の最高位の役職の一つであり、鮫島のこれまでの経験と実績が評価された結果と言えるでしょう。退官後は、財団法人水交会の会長や石川島播磨重工業の顧問を務め、後進の育成にも尽力しました。

鮫島博一の年譜

1935年（昭和10年）4月：海軍兵学校入校
1938年（昭和13年）9月27日：海軍兵学校卒業、海軍少尉候補生
1939年（昭和14年）6月1日：海軍少尉に任官
1940年（昭和15年）11月15日：海軍中尉に進級
1941年（昭和16年）12月30日：空母「龍驤」乗組
1942年（昭和17年）5月1日：海軍大尉に進級
1945年（昭和20年）5月1日：海軍少佐に進級
1945年（昭和20年）9月15日：予備役に編入
1952年（昭和27年）5月15日：海上警備隊転官
1954年（昭和29年）8月1日：2等海佐に昇任
1955年（昭和30年）10月：在アメリカ合衆国日本国大使館防衛駐在官
1959年（昭和34年）8月1日：1等海佐に昇任
1961年（昭和36年）7月1日：海上幕僚監部防衛部防衛課防衛班長
1967年（昭和42年）1月1日：海将補に昇任
1970年（昭和45年）7月1日：海将に昇任
1973年（昭和48年）12月1日：第10代 海上幕僚長に就任
1976年（昭和51年）3月16日：第9代 統合幕僚会議議長に就任
1977年（昭和52年）10月20日：退官

晩年と死

鮫島博一は、1988年（昭和63年）11月3日に勲二等瑞宝章を受章しました。2000年（平成12年）8月14日、溶血性貧血のため自衛隊中央病院で亡くなりました。享年81歳。死後、従三位が追贈されました。

まとめ

鮫島博一は、海軍時代にはパイロットとして、戦後は海上自衛隊の幹部として、日本の防衛に大きく貢献した人物です。航空技術の知識と経験を活かし、海上自衛隊の航空部門の発展に尽力したその功績は、後世に語り継がれるでしょう。

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