鷹司輔政

鷹司輔政（たかつかさ すけまさ）

鷹司輔政は、江戸時代末期、激動の幕末を生きた公家です。関白を務めた鷹司輔煕を父に、一条忠良の娘・崇子を母として生まれました。東山天皇の男系6世子孫にあたります。

生涯

安政5年（1858年）正月、10歳という若さで従三位に叙せられ、公家としての道を歩み始めます。同年9月には権中納言・左衛門督に任じられ、文久2年（1862年）正月には左近衛権中将を兼務、翌年には権大納言に昇進しました。

元治元年（1864年）2月には正三位に叙せられます。同年5月には16歳で国事御用掛に任命され、政治の中枢に関わるようになります。しかし、同年7月に勃発した禁門の変において、長州藩に同情的な態度を示し、朝廷と長州藩との間を調停しようと試みたことが、孝明天皇の不興を買います。その結果、参朝を停止されるという処分を受けました。

しかし、翌月には謹慎を解かれ、廟堂に復帰します。慶応2年（1866年）8月には従二位に進み、翌年2月には山陵使長官に任命されました。慶応3年5月12日、将軍徳川慶喜が主催した兵庫開港勅許問題を議論する朝議に参加した際、会議の長さに辟易した摂政二条斉敬が散会を提案したのに対し、「天皇も摂政も将軍も良しとする勅許をこの会議で決められないようでは朝廷も今日限りと存ずる」と発言しました。父・輔煕にたしなめられますが、この発言がきっかけとなり、勅許問題は慶喜の思惑通りに解決へと向かいました。

しかし、その活躍も束の間、慶応3年（1867年）8月、輔政は19歳という若さで急逝します。後継者を失った父・輔煕は、九条尚忠の子・煕通を養子に迎えました。これ以降、鷹司家は閑院宮直仁親王の第4王子である鷹司輔平の血統ではなくなりますが、その血統は長兄の徳大寺公純が継いだ徳大寺家と、末弟の菊亭脩季が継いだ菊亭家（今出川家）に引き継がれました。

家族・親族

父：鷹司輔煕
母：一条崇子（一条忠良の娘）
妻：蜂須賀倫子（蜂須賀斉裕の養女、実父は蜂須賀休栄の娘婿・隆芳）

鷹司家系譜

(省略)

参考文献

『公卿人名大事典』（野島寿三郎編、日外アソシエーツ、1994年）
『明治維新人名辞典』（日本歴史学会編、吉川弘文館、1981年）
『幕末維新奔流の時代』（青山忠正、文英堂、1996年）

関連項目

鷹司家
皇別摂家

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