1125型大型対潜艦

1125型大型対潜艦

1125型大型対潜艦は、ソビエト連邦で設計された大型対潜艦です。当初は対潜・対空防衛駆逐艦に分類されていました。ソ連海軍における対潜能力の強化を目指し、革新的な設計が盛り込まれましたが、最終的に建造されることはありませんでした。

開発の背景

1960年代初頭、ソ連海軍は61型対潜・対空防衛警備艦を就役させました。この艦は、ソ連初の本格的な量産型対潜・対空防衛艦であり、ガスタービン機関を主機とする初の大型艦でもありました。しかし、その対潜兵装は近代的な原子力潜水艦に対抗するには不十分であり、より強力な対潜能力を持つ艦艇の必要性が認識されました。

そこで、61型の開発に携わったB・I・クペーンスキイのグループは、1958年に強力な武装を持つ大型対潜艦の戦術技術要求を提示しました。これが1125型です。当初は対潜・対空防衛駆逐艦として計画されましたが、後に大型対潜艦に分類されることになりました。

当時、ソ連海軍には大型対潜艦という分類が存在せず、1125型は61型よりも上位の艦種とされていました。上位艦種には1134型対潜・対空防衛艦があり、これら3艦種が統合され、大型対潜艦という新たな艦種が誕生することになります。1125型は、大型の1134型と小型の61型の中間に位置する中型艦でした。1966年の分類法改正で大型対潜艦が新設され、1125型と61型は今日の基準で呼ばれる分類に改められました。

設計と装備

1125型の大きな特徴は、6連装のRBU-24000対潜ロケット発射機と、核弾頭を使用できるRPK-1「ヴィーフリ」対潜ミサイルの運用能力です。また、哨戒ヘリコプターを1機ないし2機搭載することができました。

基準排水量は5900t、満載排水量は7400tで、船体は58型ミサイル巡洋艦のものを流用し、全長160メートル、幅16メートル、喫水6メートルでした。主機関には、58型と同型の出力45,000馬力の蒸気タービンが搭載され、速力は40ノット程度が予定されていました。この速力は、高速で移動する原子力潜水艦を追跡するのに必要なものでした。

兵装としては、艦橋の直前にRBU-24000が1基、M-1「ヴォルナー」艦対空ミサイル連装発射装置が艦首と艦尾に1基ずつ、AK-726 76mm連装高角砲が艦橋両脇に2基、MR-105「トゥレーリ」GFCSが前檣両脇に1基ずつ搭載されました。また、RBU-6000対潜迫撃砲が艦首に2基、533mm5連装魚雷発射管が2基、ヘリコプター用飛行甲板と格納庫も備えていました。格納庫には航空燃料や兵装の予備弾薬庫も設けられていました。

計画中止の理由

1125型は、最終的に量産型の61型が支持され、採用されることはありませんでした。搭載予定だった「ヴィーフリ」対潜ミサイルは、発射機が変更されたものの、1123型対潜巡洋艦と1143型重航空巡洋艦に採用されました。

1125型の建造見送りは、ソ連海軍がより強力な対潜システムを構築する機会を失うことにつながりました。量産した場合、価格面でも十分建造可能であり、将来的な兵器改修の余地も残されていたため、発展性も61型よりも優れていました。採用が見送られた理由の第一は、戦略上の問題や技術的な問題ではなく、産業側の意向が大きかったと言われています。

結論

1125型大型対潜艦は、ソ連海軍の対潜能力向上に大きく貢献する可能性を秘めていましたが、最終的に計画中止となりました。この艦の設計思想は、その後のソ連海軍の艦艇開発に影響を与え、現在でもその存在が注目されています。

参考文献

(ロシア語) Планов наших громадьё. Кораблестроительные программы послевоенных десятилетий. (2008)

外部リンク

(ロシア語) “Большой противолодочный корабль пр.1125”. Сайт «АТРИНА» • Боевые корабли СССР и России • 1945-2005 гг. 2012年12月25日時点のオリジナルよりアーカイブ。2010年7月11日閲覧。

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