1962年の相撲

1962年の大相撲

1962年の大相撲は、様々な出来事が相次ぎ、相撲界の勢力図が大きく変動した一年でした。ここでは、その主な出来事を詳細に見ていきましょう。

大相撲の動向

1月: 初場所では、大関若羽黒が関脇へ陥落し、内田改め豊山が新入幕を果たしました。横綱朝潮は場所前に引退し、一代年寄となりましたが、その後、振分（元大関松登）が大山を襲名したため、朝潮は振分の名跡を継ぐこととなりました。

2月: 協会役員改選では、春日野が理事に就任。また、大鵬がエールフランスの招待でヨーロッパへ渡航しました。

3月: 春場所では、佐田の山の大関昇進が決定。これにより、相撲界の勢力図に変化が見られました。

4月: 二所ノ関部屋が鉄筋4階建ての新築落成を果たし、施設の近代化が進みました。

5月: 横綱若乃花が引退し、年寄二子山を襲名。夏場所では、片男波部屋への力士移籍をめぐって、二所ノ関と片男波の間で騒動が発生し、玉ノ海梅吉が仲裁に入る事態となりました。場所後には、栃ノ海晃嘉と栃光の同時大関昇進が決定し、大鵬と柏戸がハワイ巡業へ出発しました。

7月: 名古屋場所では、栃ノ海と栃光が新大関となり、5大関時代を迎えました。

9月: 二子山部屋が土俵開きを行い、秋場所が開催されました。

10月: 大阪準本場所では、横綱柏戸が優勝を果たしました。

11月: 九州場所では、大関琴ヶ濱が引退し、年寄尾車を襲名しました。

12月: 第23代木村庄之助が停年引退し、時津風理事長が紫綬褒章を受章しました。

本場所の結果

一月場所: 大鵬幸喜が13勝2敗で幕内最高優勝。殊勲賞は青ノ里、敢闘賞は豊山、技能賞は栃ノ海が受賞。十両優勝は荒岐山正。
三月場所: 佐田の山晋松が13勝2敗で幕内最高優勝。殊勲賞は栃光、敢闘賞は豊國、技能賞は佐田の山が受賞。十両優勝は天津風武藏。
五月場所: 栃ノ海晃嘉が14勝1敗で幕内最高優勝。殊勲賞は栃光、敢闘賞と技能賞は栃ノ海が受賞。十両優勝は玉嵐孝平。
七月場所: 大鵬幸喜が14勝1敗で幕内最高優勝。殊勲賞は出羽錦、敢闘賞は廣川、技能賞は鶴ヶ嶺が受賞。十両優勝は琴櫻紀雄。
九月場所: 大鵬幸喜が13勝2敗で幕内最高優勝。殊勲賞と敢闘賞は豊山が受賞。十両優勝は若天龍祐三。
十一月場所: 大鵬幸喜が13勝2敗で幕内最高優勝。殊勲賞と敢闘賞は豊山、技能賞は小城ノ花が受賞。十両優勝は岡ノ山喜郎。

誕生した力士たち

この年、後の相撲界を担うことになる多くの力士たちが誕生しました。

4月26日 - 琴稲妻佳弘（最高位：小結）
5月22日 - 栃乃和歌清隆（最高位：関脇）
7月1日 - 三杉里公似（最高位：小結）
7月28日 - 若瀬川剛充（最高位：前頭筆頭）
7月30日 - 両国梶之助（最高位：小結）
8月31日 - 起利錦利郎（最高位：前頭2枚目）
9月2日 - 水戸泉政人（最高位：関脇）
9月4日 - 栃ノ華朝王（最高位：十両4枚目）
10月9日 - 大乃国康（第62代横綱）
11月3日 - 出羽の洲聖（最高位：十両5枚目）

物故者

この年、相撲界の発展に貢献した多くの人々が亡くなりました。

1月19日 - 高登渉（最高位：関脇）
2月28日 - 葦葉山七兵衛（最高位：前頭12枚目）
3月19日 - 備州山大八郎（最高位：関脇）
4月26日 - 鷹城山多作（最高位：前頭5枚目）
6月4日 - 櫻錦利一（最高位：小結）
8月6日 - 豊光重信（最高位：十両18枚目）
* 9月9日 - 一ノ濱善之助（最高位：前頭4枚目）

まとめ

1962年の大相撲は、横綱の引退、大関の昇進、新入幕力士の登場、そしてベテラン力士の引退など、相撲界の勢力図が大きく変動した一年でした。また、この年は後の相撲界を担うことになる多くの力士たちが誕生した年でもあり、相撲界にとって非常に重要な一年であったと言えるでしょう。

出典: 『大相撲戦後70年史』(ベースボールマガジン社、2015年)p57

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