1975年のテレビ (日本)
1975年（昭和50年）は、日本のテレビ放送にとってネットワーク構造の大きな変化や技術の進化が見られた、転換点とも言える一年でした。
この年の最大の出来事は、3月31日に断行された毎日放送（MBS）と朝日放送（ABC）間のネットワークチェンジ、通称「腸捻転」の解消です。これにより、MBSはTBS系列（JNN）に、ABCはNET（現・テレビ朝日）系列（ANN）にそれぞれ加盟しました。この影響は関西ローカルにとどまらず、青森テレビ（ATV）のJNN正式加盟や青森放送（RAB）のクロスネット化などをもたらしました。さらに10月1日には、宮城県に東日本放送（NET系）、広島県にテレビ新広島（フジテレビ系）が開局。これにより、両県の日テレ系クロスネット局（ミヤギテレビ、広島テレビ）がフルネット化し、宮城・広島両県を含む「7大都市圏」全てで、民放4系列4局によるフルネット体制が確立されました。これは、地方における番組編成の自由度が大きく向上したことを意味します。
カラーテレビの普及が一般家庭に広がり、番組制作もカラー視聴を前提としたものが主流に。色の判別が重要となるクイズ番組（例えば『パネルクイズ アタック25』、『七つの文字』など）なども登場しました。報道・取材分野では、NHKが「ENG（Electronic News Gathering）」システムを導入。小型カラーカメラと携帯型ビデオデッキを組み合わせたこの技術は、現像不要で迅速な取材・編集を可能にし、翌年から民放にも導入され、報道や番組ロケの収録システムがフィルムからビデオへと移行する端緒となりました。また、日本民間放送連盟のCM基準改正により、一部系列（JNNを除く）でスポットニュースなどのミニ番組枠が5分から6分に拡大されました。
この年はバラエティ、ドラマ、アニメなど多ジャンルで多くの新番組が誕生しました。日本テレビ系では、公開バラエティ『カックラキン大放送!!』、情報バラエティ『テレビ三面記事 ウィークエンダー』、クイズを兼ねた対面番組『それは秘密です!!』など、TBS系では、現在も再放送などで親しまれる刑事ドラマ『Gメン'75』、人気クイズ『ぴったし カン・カン』、キー局初の本格的なローカルワイドニュース『テレポートTBS6』などがスタート。フジテレビ系からは、萩本欽一司会の人気バラエティ『欽ちゃんのドンとやってみよう!』や、子供向けアニメの金字塔『タイムボカンシリーズ』の第1作『タイムボカン』が、NET系からは、女性向け情報番組『独占!女の60分』、長寿アニメ『一休さん』が始まりました。ネットチェンジ後の朝日放送からは、週末朝の顔となる『おはようワイド・土曜の朝に』や、名物ルール「アタックチャンス」を導入して後の長寿番組となる『パネルクイズ アタック25』、後に全国ネットとなる恋愛バラエティ『ラブアタック!』が登場しました。読売テレビでは、視聴者参加型のスポーツアトラクション番組『びっくり日本新記録』が始まりました。
一方、長年親しまれた番組が終了を迎えた年でもありました。TBSでは、向田邦子脚本の人気ドラマシリーズ『ありがとう（第4シリーズ）』、大橋巨泉司会の人気クイズバラエティ『お笑い頭の体操』（後継は『クイズダービー』）が終了。毎日放送制作でグリコ提供の長寿ゲーム番組『がっちり買いまショウ』も12年の歴史に幕を閉じました（後継として『伸介のグリコがっちりショッピング』がスタート）。特撮分野では、TBS系『ウルトラマンレオ』の終了により、1971年から続いた「第2期ウルトラシリーズ」が一区切りとなり、一時円谷プロダクションの作品がテレビから姿を消しました。また、ラジオ放送時代から数えて20年の歴史を持つ、毎日放送制作のトーク番組『夫婦善哉』もこの年に終了しています。
エンターテインメント界では、近畿放送による日本初の長時間チャリティー番組『宮城まり子のチャリティーテレソン』が放送されました。フジテレビ系『夜のヒットスタジオ』では司会陣が交代し、ザ・ピーナッツ、山口百恵らの引退・解散時に特別企画を放送するなど、歌手の節目の際の「さよなら企画」が番組の名物として定着していく契機となりました。NET系『土曜ショー』の企画で、後に日本のコメディ界を牽引するタモリがテレビ初出演を果たし、芸能界デビューを飾ったことも特筆される出来事です。
年間を通じ、テレビは高い視聴率を維持しました。年末の『NHK紅白歌合戦』は72.0%を記録。NHK連続テレビ小説『鳩子の海』も53.3%と高い関心を集めました。TBS『水戸黄門』や日本テレビ『太陽にほえろ!』などの人気シリーズも好調でした。大相撲千秋楽やボクシング世界タイトルマッチ、夏の高校野球決勝といったスポーツ中継も高い視聴率を獲得しています。
多くの放送局が開局・周年を迎え、番組も放送100回、500回、1000回といった記念回を迎えました。特にフジテレビの『スター千一夜』は放送5000回を超えるなど、テレビが国民生活に定着し、歴史を重ねていたことが示されています。
1975年は、ネットワークの変革と地方局の発展、技術革新の萌芽、そして視聴者のニーズに応える多様な番組制作が進んだ、日本のテレビ放送史において重要な節目となった年と言えるでしょう。
ネットワークの再編
この年の最大の出来事は、3月31日に断行された毎日放送（MBS）と朝日放送（ABC）間のネットワークチェンジ、通称「腸捻転」の解消です。これにより、MBSはTBS系列（JNN）に、ABCはNET（現・テレビ朝日）系列（ANN）にそれぞれ加盟しました。この影響は関西ローカルにとどまらず、青森テレビ（ATV）のJNN正式加盟や青森放送（RAB）のクロスネット化などをもたらしました。さらに10月1日には、宮城県に東日本放送（NET系）、広島県にテレビ新広島（フジテレビ系）が開局。これにより、両県の日テレ系クロスネット局（ミヤギテレビ、広島テレビ）がフルネット化し、宮城・広島両県を含む「7大都市圏」全てで、民放4系列4局によるフルネット体制が確立されました。これは、地方における番組編成の自由度が大きく向上したことを意味します。
技術と番組制作の変化
カラーテレビの普及が一般家庭に広がり、番組制作もカラー視聴を前提としたものが主流に。色の判別が重要となるクイズ番組（例えば『パネルクイズ アタック25』、『七つの文字』など）なども登場しました。報道・取材分野では、NHKが「ENG（Electronic News Gathering）」システムを導入。小型カラーカメラと携帯型ビデオデッキを組み合わせたこの技術は、現像不要で迅速な取材・編集を可能にし、翌年から民放にも導入され、報道や番組ロケの収録システムがフィルムからビデオへと移行する端緒となりました。また、日本民間放送連盟のCM基準改正により、一部系列（JNNを除く）でスポットニュースなどのミニ番組枠が5分から6分に拡大されました。
新番組と終了番組
この年はバラエティ、ドラマ、アニメなど多ジャンルで多くの新番組が誕生しました。日本テレビ系では、公開バラエティ『カックラキン大放送!!』、情報バラエティ『テレビ三面記事 ウィークエンダー』、クイズを兼ねた対面番組『それは秘密です!!』など、TBS系では、現在も再放送などで親しまれる刑事ドラマ『Gメン'75』、人気クイズ『ぴったし カン・カン』、キー局初の本格的なローカルワイドニュース『テレポートTBS6』などがスタート。フジテレビ系からは、萩本欽一司会の人気バラエティ『欽ちゃんのドンとやってみよう!』や、子供向けアニメの金字塔『タイムボカンシリーズ』の第1作『タイムボカン』が、NET系からは、女性向け情報番組『独占!女の60分』、長寿アニメ『一休さん』が始まりました。ネットチェンジ後の朝日放送からは、週末朝の顔となる『おはようワイド・土曜の朝に』や、名物ルール「アタックチャンス」を導入して後の長寿番組となる『パネルクイズ アタック25』、後に全国ネットとなる恋愛バラエティ『ラブアタック!』が登場しました。読売テレビでは、視聴者参加型のスポーツアトラクション番組『びっくり日本新記録』が始まりました。
一方、長年親しまれた番組が終了を迎えた年でもありました。TBSでは、向田邦子脚本の人気ドラマシリーズ『ありがとう（第4シリーズ）』、大橋巨泉司会の人気クイズバラエティ『お笑い頭の体操』（後継は『クイズダービー』）が終了。毎日放送制作でグリコ提供の長寿ゲーム番組『がっちり買いまショウ』も12年の歴史に幕を閉じました（後継として『伸介のグリコがっちりショッピング』がスタート）。特撮分野では、TBS系『ウルトラマンレオ』の終了により、1971年から続いた「第2期ウルトラシリーズ」が一区切りとなり、一時円谷プロダクションの作品がテレビから姿を消しました。また、ラジオ放送時代から数えて20年の歴史を持つ、毎日放送制作のトーク番組『夫婦善哉』もこの年に終了しています。
その他の番組に関する出来事
エンターテインメント界では、近畿放送による日本初の長時間チャリティー番組『宮城まり子のチャリティーテレソン』が放送されました。フジテレビ系『夜のヒットスタジオ』では司会陣が交代し、ザ・ピーナッツ、山口百恵らの引退・解散時に特別企画を放送するなど、歌手の節目の際の「さよなら企画」が番組の名物として定着していく契機となりました。NET系『土曜ショー』の企画で、後に日本のコメディ界を牽引するタモリがテレビ初出演を果たし、芸能界デビューを飾ったことも特筆される出来事です。
高い視聴率
年間を通じ、テレビは高い視聴率を維持しました。年末の『NHK紅白歌合戦』は72.0%を記録。NHK連続テレビ小説『鳩子の海』も53.3%と高い関心を集めました。TBS『水戸黄門』や日本テレビ『太陽にほえろ!』などの人気シリーズも好調でした。大相撲千秋楽やボクシング世界タイトルマッチ、夏の高校野球決勝といったスポーツ中継も高い視聴率を獲得しています。
記念の年
多くの放送局が開局・周年を迎え、番組も放送100回、500回、1000回といった記念回を迎えました。特にフジテレビの『スター千一夜』は放送5000回を超えるなど、テレビが国民生活に定着し、歴史を重ねていたことが示されています。
1975年は、ネットワークの変革と地方局の発展、技術革新の萌芽、そして視聴者のニーズに応える多様な番組制作が進んだ、日本のテレビ放送史において重要な節目となった年と言えるでしょう。
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